47話 ページ48
.
｢いっそ雪代さんの組織の傘下に入ればいいじゃないですか｣
｢無理デス。雪代縁に忠誠は誓えまセン｣
黒星さんも忠誠心の欠片も無いけどな…
妥協できるかできないかの違いか
.
話しているうちに目的地に着いたのか、路地を抜けた先の薄暗い小屋の中へ歩みを進め、そのまま床に座らされる
部下の男の人がわたしの足を掴み、そのまま縄で拘束した
何かにもたれていないと座っているのもままならないので、ずりずりと腕を這って移動して、壁に背を預ける
｢わたしで強請っても、雪代さんは来ませんよ｣
｢何、雪代縁を呼ぶ為にお前を攫ったわけではありまセン。こちらの戦力をどれだけ注いでも雪代縁に勝てないのは明白デス。｣
｢え？｣
じゃあ尚更なんでわたしを…
｢1番残酷な形でお前を殺そうと思いマス｣
｢は…？｣
｢聞けば、雪代縁は私用の為に組織を作ったとのコト。そしてその私用は1人の女が関係している。雪代縁と関わりのある女はお前だけデス
お前が死ねば、組織の存在意義は無くなる。また風向きがこちらに傾いてくれるというわけデス｣
ああ〜〜〜……
なるほど…
その女、わたしじゃなくて雪代さんのお姉さんです。って言いたい。…けど、わたしが勝手に喋っていい事じゃないからな…
｢痛いのは一瞬がいいんですけど｣
｢ハ、その要望は聞きかねます｣
男がゆっくりとこちらに歩みを進め、目前で立ち止まる
その場でしゃがみ込めば、わたしの着物の片方の襟元を掴み 二の腕あたりまでずり下げた
右肩が露わになって、晩春の冷たい風を感じた
｢雪代縁が己の女にされたくないコト…その全てをやり尽くしてからゆっくりとなぶり殺しマス｣
｢…！？
ちょ…っと待っって！！！！女じゃない！雪代縁の女じゃないです！！居候してるだけ！！｣
あまりにも受け入れ難い展開に、思わず抗議の声を挙げる
そんな勘違いで屈辱的な目にあうのは御免だ
｢死にたくないから居候と偽って命乞いデスカ…。雪代縁は女を見る目がありまセン…｣
｢そっちに同情するのやめて頂ける！？｣
｢まぁそう声を荒げないでくだサイ。わたしにだって慈悲の心はありマス
決行は明日。それまでに遺書と心の準備をしておくことデス｣
男がおもむろに紙と筆とインクの瓶を床に放り投げ、部下を連れて小屋から出ていく
1日生き延びれてラッキー、とでも思うべきなのだろうか
どうすることもできなくて、呆然とその後ろ姿を見送った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 390人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽ - 実写映画を見て縁さん……♡となったのに夢小説がぜんぜん見当たらなくて泣いてたのでとっっっても大事に噛み締めて拝見させていただきました！！短編でも良いのでまた縁さん御相手のお話が読みたいです♡ (2023年3月7日 17時) (
レス) id: 3ffd0127b7 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 心の支えです。続き楽しみに待ってます…!! (2022年10月25日 1時) (レス) id: d1feb6ce39 (このIDを非表示/違反報告)
ももか - 48話まで一気に読ませていただきました。原作ともに真剣縁、実写映画も愛しているものです。続きも楽しみにいます。とてもステキな作品です。 (2021年6月25日 1時) (レス) id: cd77308074 (このIDを非表示/違反報告)
ぽき - 本当に本当に書いてくださってありがとうございます。最高です、、、 (2021年6月23日 22時) (レス) id: 26efc0f3b7 (このIDを非表示/違反報告)
武山(プロフ) - unnkochanさん» ありがとうございます！映画派の方にも漫画派の方にも楽しんで頂けるよう頑張ってかきます！！"(ﾉ*>∀<)ﾉ (2021年6月17日 23時) (レス) id: ec0c3a6854 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：武山 x他1人 | 作成日時：2021年5月9日 22時
