27話 ページ28
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どれくらい時間が経ったのだろうか
雪代さんの手が触れている背中が、じんわりと熱を帯びて熱い
部屋にはお互いの呼吸音と、僅かな布の擦れる音だけが響く
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「もう、今夜で終わりだ」
途端、雪代さんが静かにそう告げる
「なんで…」
「やはり、どんなに似ていても貴様は姉さんじゃない
約束通り日本に帰る日まではここに置いてやる
だから、今夜で終わりだ」
「…
…分かりました……」
言い返そうとしたけど、何も言葉が出てこなかった
だって、わたしは本当に雪代巴さんじゃないし ずっと座ってただ佇んでいるだけ なんて到底できそうにもない
というか、実際できなかったし。勢いのまま抱きしめちゃったし
我ながら…中々に大胆なことをしてしまった。でも、身体が勝手に…。母性大爆発という感じだ
「…?おい、貴様今更照れてるのか?」
「は?照れてないですが」
的確に指摘され、思わず爆速で言い返す
なんだかいつもと立場が逆転してる
不審がるように、じっ、と雪代さんに見つめられたので、見るな!見ないでー!と思いつつも、ここで目線を逸らしたら わたし、照れてます。 と自己申告しているようなものだ
負けじと じ〜…と見つめ返すが 自分の身体なのに中々に融通が効かない
鏡を見なくても分かる。湯気でてる?ってくらい、自分の顔が熱い。目も、恥ずかしくってたまらなくて無意識のうちに伏せてしまう
「意地を張るのは結構だが、いつか自分の身を滅ぼすぞ」
「…っわ!?」
途端、背中に添えられていた手は下へ降り、腰に両腕を回され強く抱きしめ返される
近い!近い!
思わず背中を反らして離れようとしたが、それを待っていたかのように雪代さんは添えた手に力を入れてわたしの腰を浮かす。反動で勢い余り わたしは仰向けのままベッドにポスン!と倒れ込んだ
起き上がる暇もなく、雪代さんがわたしの上に覆いかぶさり ニヤリと笑う
「どうした?降参カ?」
「な……っ
………。
…。
……はい、降参デス………」
白旗をあげるように両手をヒラヒラとする
雪代さんは フッ、と面白そうに笑って わたしの上から退いた
「首を絞めても刀を突きつけても飄々としていた貴様の弱点がこれか…」
「うぐ……」
「これからは俺に生意気な態度はとれないな?」なんて勝ち誇った表情を向けられたので、わたしは恨みったらしく雪代さんを睨みつけることしかできなかった。
…負けた。
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ぽ - 実写映画を見て縁さん……♡となったのに夢小説がぜんぜん見当たらなくて泣いてたのでとっっっても大事に噛み締めて拝見させていただきました!!短編でも良いのでまた縁さん御相手のお話が読みたいです♡ (2023年3月7日 17時) (レス) id: 3ffd0127b7 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 心の支えです。続き楽しみに待ってます…!! (2022年10月25日 1時) (レス) id: d1feb6ce39 (このIDを非表示/違反報告)
ももか - 48話まで一気に読ませていただきました。原作ともに真剣縁、実写映画も愛しているものです。続きも楽しみにいます。とてもステキな作品です。 (2021年6月25日 1時) (レス) id: cd77308074 (このIDを非表示/違反報告)
ぽき - 本当に本当に書いてくださってありがとうございます。最高です、、、 (2021年6月23日 22時) (レス) id: 26efc0f3b7 (このIDを非表示/違反報告)
武山(プロフ) - unnkochanさん» ありがとうございます!映画派の方にも漫画派の方にも楽しんで頂けるよう頑張ってかきます!!"(ノ*>∀<)ノ (2021年6月17日 23時) (レス) id: ec0c3a6854 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:武山 x他1人 | 作成日時:2021年5月9日 22時