[雪代縁]放っておけない

17話 ページ18

今日は朝から晩までずっと雨が降り続けるらしいので、屋敷に籠って服を仕立てる

有難いことに、服屋の店主に日本で服飾を生業としてきた と伝えると何件かお仕事を任せていただけることになったのだ


｢ふぅ…｣



目がボヤボヤしてきたので一旦作業を辞めて
ぐ〜っ、と伸びをする



話し相手がいないとヒマだ

雪代さんに話しかけても無視されるか刀を突きつけられるかの2択だし…



こんな大雨じゃなかったら外に出かけるのに…

恨みがましく窓から外を見ると、門の前に見慣れた馬車が停まっていた



黒星さんの馬車だ！



邪魔するなって四星さん達に怒られそうだけど、挨拶だけでも…


自室を出て玄関の方へ歩く

前方に黒星さんの姿が見えたので｢こんにちは！｣と手を振った


｢ご無沙汰しておりマス。Aサン。わざわざ出迎えですか？｣


｢そんなところです。1人で退屈していたので雪代さんの部屋までお話しましょ｣


四星さん達に囲まれながら歩く黒星さんと横並びになって廊下を進む

歩きづらくないのかな…



｢ボスとはお話されたりしないんですカ？｣


｢話しかけても全部無視ですねーたまに殺されかけます｣



｢フゥン…ボスの女だったら弱みを握るのに使えそうだったのに…心底使い物にならないな。｣



｢あっまた早い中国語！聞き取れないんですが！なんて言った？なんて言ってました？｣


こっそり！こっそりチクって！というように四星さん達にジェスチャーを送ったけど、四星さん達から返ってくるのはプークスクスみたいな嘲笑ばかり

こ い つ ら 〜〜〜



なんて、話しているとあっという間に雪代さんの部屋の前に着いた



｢そういえば、雪代さんと黒星さんは何の組織を統括しているんですか？｣


純粋な疑問。これだけ桁外れの大金持ちだと、やっぱり少しは気になるものだ



｢聞かされてないんですか？ボスも人が悪いデスね


率直に言うと違法武器や暗器を取扱う武器マフィアですヨ｣



んーーーーー…



んーーーーーーーーー？？





｢それ言っちゃっていいんですか！？


聞いたからにはお前はここで殺すヨ。四星、やっておしまい！ みたいなやつじゃないですよね？｣



｢私のこと何だと思っているんデスか

貴女のような人畜無害そうな女に教えたところで何も不味いことはないでショウ｣


わーーー！

失礼〜〜〜……



｢一応聞かなかったことにしておきマスネ｣


｢ちょっと、カタコト移ってますケド｣


わざとデ〜ス と笑ってその場を離れる
さて、良い息抜きになったし残りの作業も頑張ろう！

18話→←16話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す