10話 ページ11
ここから先は、一言も喋っちゃいけない
少しでも 雪代さんのお姉さん と違うところを見せてはいけない
背筋を伸ばし、顎を引く
コンコン、と小さくノックすると中から｢どうぞ｣と声がしたのでゆっくりと扉を開けた
｢姉さん…｣
中に入るなり、雪代さんは先程廊下ですれ違った時からは想像もできない優しそうな表情をして私を迎え入れた
｢そんなとこで立っていないで、こっちへ来て｣
招かれるまま、ベッドで腰掛ける雪代さんの隣へ座る
姿勢よく、姿勢よく…お上品に…
｢こうして会えるのは14年ぶりだ…姉さん…｣
14年…ってことは 大体9〜10歳くらいの頃にお姉さんを亡くされたのか
そんな早くから……
雪代さんのお姉さんに接する態度は、たぶんお姉さんを亡くされた時から止まったまんま。わたしと接する時とは全然違って なんだか物腰が低くて少し幼い
雪代さんは、そのままぽつりぽつりと昔の思い出話を語った
あの時作ってくれた料理が美味しかった、とか京都に嫁ぎ先が決まった時は寂しくて仕方がなかった、とか
わたしは相槌を打ちたくなるのをグッと堪えて、少し口元を綻ばせて小さくうんうん、と頷くばかりだった
段々、雪代さんの喋るペースがゆっくりになっていく
眠たいのだろうか？じ、と顔を見つめると小さくふにゃ、と笑ってそのまま眠ってしまった
座ったまま寝てる…
ベッドにちゃんと寝かせてあげないと…でも起こしちゃったらどうしよう…
おろおろと座ったまま寝てる雪代さんの周りを行ったり来たりしていたら
｢姉さんも、部屋に戻って寝てね｣
と、寝ていたはずの雪代さんがハッキリと喋った
思わぬ出来事に目を丸くする 眠ってたんじゃなかったの…？
｢俺はあの日から…姉さんが死んだあの日から、睡眠状態にあっても脳は覚醒したまま
姉さんを殺した、抜刀斎への果てしない怨恨のせいで…｣
途端、それ以上聞くのが怖くて 足早に雪代さんの部屋を飛び出した
"姉さんを殺した" って言った
雪代さんのお姉さんは殺されたんだ…。抜刀斎っていう人に
出会ってたったの2日、それでもわたしみたいな得体の知れない女を傍において お姉さんの温もりを求めてしまうほど 雪代さんの心は憔悴しきってる
お姉さんがどういう経緯で殺されたのかは分からない。それでも、抜刀斎という人が憎い。やるせない怒りを覚えながら、自室へ戻った
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ぽ - 実写映画を見て縁さん……♡となったのに夢小説がぜんぜん見当たらなくて泣いてたのでとっっっても大事に噛み締めて拝見させていただきました！！短編でも良いのでまた縁さん御相手のお話が読みたいです♡ (2023年3月7日 17時) (
レス) id: 3ffd0127b7 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 心の支えです。続き楽しみに待ってます…!! (2022年10月25日 1時) (レス) id: d1feb6ce39 (このIDを非表示/違反報告)
ももか - 48話まで一気に読ませていただきました。原作ともに真剣縁、実写映画も愛しているものです。続きも楽しみにいます。とてもステキな作品です。 (2021年6月25日 1時) (レス) id: cd77308074 (このIDを非表示/違反報告)
ぽき - 本当に本当に書いてくださってありがとうございます。最高です、、、 (2021年6月23日 22時) (レス) id: 26efc0f3b7 (このIDを非表示/違反報告)
武山(プロフ) - unnkochanさん» ありがとうございます！映画派の方にも漫画派の方にも楽しんで頂けるよう頑張ってかきます！！"(ﾉ*>∀<)ﾉ (2021年6月17日 23時) (レス) id: ec0c3a6854 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：武山 x他1人 | 作成日時：2021年5月9日 22時
