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部屋に戻ると 天井をぼんやりと見つめていた。そばに寄って見ると目線を晒される。
まぁ、仕方ないよね。本人からしたら目が覚めていきなり知らない家にいて自分が動けない状況なら憤りを感じても無理もない。
それに、さっきの彼の口調に闇を連想させる瞳。どうやら裏の世界に通じている感じで、昔の太宰を思いだす。
「そうそう、あなたを見つけてから十時間は経ってる。肩の傷口は幸いにも浅いものだったから」
「手当させてもらったよ」と言うと、ふいっと向こう側を向く。
「…………貴様は理解できぬ」
「え?」
呟くように何か言ったけど聞き取れず、ベッド脇の椅子に座って彼の破けた服を縫う。
綺麗なデザインをしているけど、年季の入った物だなぁと思いながら縫っているとゴホッと彼が咳をした。
「大丈夫? 何か飲む?」
「そんな必要は__「あ、もう夜だしそれとも晩御飯かな」おい話を!」
ちょっと待っててね、と言い声を上げる彼を部屋に残してキッチンへと向かった。
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しばらくすると、お盆を持った女が戻ってきた。サイドテーブルに置くと「起き上がれる?」と聞いた。
「何をする気だ」
「食欲があるなら、食べて貰おうと思って」
「……………」
起き上がるのを手伝うと 背中にクッションを置いて水を渡してきた。
「ゆっくり飲んでね」とだけ言い。僕をじっと見つめる。初めて此奴の顔をまじまと見た気がする。
「?」
僕が飲まないのを不思議に思ったのか首を傾ける。その姿はまるで警戒心がない。こちらの不信感も気にせず笑っている
「…………頂く」
水を口に含むと ようやく体が落ち着いた感覚になった。
貴方side
「お腹、空いてる?」
「腹など空かぬ」
グウゥ-
「うん、空いてるみたいだね。はい口開けてー」
おもいっきり鳴ったよね。クスッと笑うと怪訝そうな顔をされるけど気にしない。お粥をスプーンですくい口に持っていくと「なんだ」と言われる
「? なにってお粥」
スプーンに乗っているお粥と私を交互に見つめる。もしかして、誰かに食べさせてもらった事ないのかな
「口を開けて、食べさせてあげるから」
「……ッ!!やめろ自分で食える!!」
意味が分かった事のか、嫌がる青年。わぁ、また赤黒いの出さないで
「手、動かすと痛いよ?」
そう言うと、ぐっと解せない様な顔をした。しばらく渋ったが、ようやく口を開けてくれた。
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柚子の香(プロフ) - キリカさん» いえいえ!頑張ってくださいね! (2018年8月27日 17時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 柚子の香さん» ありがとうございます。ほんとだ"敦"ですね。すみませんありがとうございます! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 唯我独尊丸さん» わぁ ありがとうございます。うれしいです! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
柚子の香(プロフ) - 凄く面白い!ただ、ひとつだけいいですか?漢字が『淳』では無く『敦』だと思います。なんかすみません。この作品大好きです!更新楽しみにしてますね! (2018年8月27日 0時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
唯我独尊丸(プロフ) - 凄く面白かったです!イッキ読みしちゃいました笑更新頑張って下さい!楽しみにしてます! (2018年8月26日 23時) (レス) id: 2689cacca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キリカ | 作成日時:2018年8月22日 19時