Last episode ページ50
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ﾀﾞﾝ...ﾀﾞﾝ...
ﾋｭｯ....ﾊﾞｼｯ!!
「すごい音」
「こんなもんだろ」
「うん 毎度驚いてる」
「なぁ、ちょっとボール上げてほしい」
「いいよ」
早朝の体育館
まだ朝日が昇っていないせいか、もやがかかったように暗い
こんな朝早いのはなかなか無い
彼の隣にいると、新鮮な世界に引っ張られる
ﾀﾞﾝｯ!!
「もうちょい右か…」と呟きながら次のボールを持っている。そういえば、初めて出会った日もこんな感じだったっけ
「ね、飛雄」
あの日はこんな風に、あなたの隣にいるなんて
あなたの好きを一身に受け止める存在になるなんて
思ってもいなかった
考えもしなかった
あなたと見る景色が特別で、
これから見ていく景色は、きっともっと沢山ある
それはどんな色で、
どんな風に輝いているんだろう
私はそんな事に胸を躍らせる
「好き」
「おう」
「それ以上に好き」
「お前、本当は語彙力ねーんだろ」
「バレてる」
「だからいつも直球なんだろ」
「スゲーけど」と言って再びサーブを打った
私は飛雄から"語彙力"という言葉が出てきた事がすごいと思った
「飛雄はこれからどうするの?」
「サーブやってトス練したあとストレッチ」
そっちじゃない
思わずボールを持つ手がうなだれる
私が聞きたかったのは進路のお話
でも…
ﾊﾞｼｯ!!
「よしｯ!」
聞かなくても思い知らされるよね
きっとずっと、こんな風にバレーを追いかけてる
私はそんな姿を近くで見ていられたらいい
「Aはどうすんだ?」
「飛雄のそばにいる」
「おぉ わかった」
「…ずっといてもいい?」
「? 授業は別だろ」
「"これから"」
意識して言った
ﾄﾞｷﾝと心臓が鳴る
黒い瞳が私を見てる
吸い込まれそうなほど、綺麗だ
こっちに来るとｷｭｯとバッシュの音が体育館に響いた
おもむろに頭に乗った手
無言で撫でてくる
「昨日言っただろ、"もう、離さねェ"って」
「…ｯ!!」
「あれ嘘じゃねェよ」
「ｯ…そっか」
幸せすぎて 涙が出てくる
私が欲しい言葉をくれる
ずるい、かっこいい
でも、どうしよもなく好き
"目が離せなかった"
"呼吸を、忘れるほどに"
ﾀﾞﾝｯ!!
体育館の床に響くボール
その音は、これからもずっと
私の心に響いてく
fin.
終わり
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かげぇ - 本当にこんなストーリーが思いつくなんて天才ですね。本当に感動しました。ありがとうございます。 (2022年10月21日 2時) (
レス) id: 3036219cf9 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 祈吏さん» 差し支えなければ村上春樹さんのどの作品の女の子に似ているのか教えて頂ければ幸いです。とても気になります! (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます! 月島くんのことも好きになってくれるなんて感無量ですね (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
祈吏(プロフ) - 主人公の女の子が村上春樹の小説に出てくる女の子みたいですごく好きでした (2022年6月4日 15時) (レス) @page50 id: ed79f9af0b (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - すごく素敵でした。影山くんももちろんですが、月島くんももっと好きになりました！ (2021年6月19日 2時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キリカ
| 作成日時：2019年8月11日 19時
