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夜 練習の終わった体育館にて




「…」スゥ-





Aが体育館の壁にもたれたまま動かない
ちょこーんと置かれた人形みてェだな



こいつ、寝てんのか?




足音を立てねェようそっと近づくと
完全に寝ていた





「風邪引くだろうが」





取り敢えず着ていたジャージを肩までかける
慣れない合宿で疲れてんのか。隣に腰を下ろす




「…!」





ふわっといい匂いがしたと思ったら、
こっちに倒れてきた。咄嗟に強張った体




一瞬心臓がドキッとしたなんてこいつは知るはずもなく、俺の肩で眠り続ける





「…A」


「…」スゥ-


「おい、体痛めるぞ」


「…と、びお」


「?」




寝言か?
覗き込んでも目は瞑ったままで起きる気配はない






「とび、お…すき、…スゥ-」


「〜〜!! おまっ…」






なんつー事言うんだよ
寝言でそれ言うってありかよ!





こいつのペースに乱されてんのに
本人はすやすやね寝てやがる




「…」




"隣の席の間柄"





確かこいつ、隣月島だったよな
朝言ってたのはそーゆー事か






今は俺が隣にいるけどな
こいつの横は俺がいい、それ以外認めねェ






「ん…」


「! 起きたか」


「…寝てた?」


「おお 寝てた」


「ごめん」





「何で謝るんだよ?」と体を起こすAに聞くと
「真剣に練習してる人の中で寝るなんて」と眉間を寄せた





「今日はもう終わったからいいだろ」


「…。どうしてここに?」


「忘れたタオル取りに来た。そしたらお前寝てた」


「そう。ありがとう」






礼を言うAの手をスルッと俺から絡めた。
驚いた顔をしながらも、すぐに嬉しそうに笑って
「飛雄の夢見てた」とはにかむ




だからさっきの寝言か





「かっこよかった」


「ッ…そうかよ」


「でも夢より現実の方がいい」


「?」




ぐいっと繋いだ手を引き寄せられ、
倒れた拍子に頬にキスをした





「こうして、あなたに触れられるから」


「! ……お前、からかってるだろ」


「ダメ?」


「たまには俺からさせろ」


「!」





正直に思った事を言うと、
ほんのりと赤く染まった顔して俺を見つめ
「うん」と最高の笑顔が向けられた



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設定タグ:ハイキュー , 影山飛雄   
作品ジャンル:恋愛
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かげぇ - 本当にこんなストーリーが思いつくなんて天才ですね。本当に感動しました。ありがとうございます。 (2022年10月21日 2時) (レス) id: 3036219cf9 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 祈吏さん» 差し支えなければ村上春樹さんのどの作品の女の子に似ているのか教えて頂ければ幸いです。とても気になります! (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます! 月島くんのことも好きになってくれるなんて感無量ですね (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
祈吏(プロフ) - 主人公の女の子が村上春樹の小説に出てくる女の子みたいですごく好きでした (2022年6月4日 15時) (レス) @page50 id: ed79f9af0b (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - すごく素敵でした。影山くんももちろんですが、月島くんももっと好きになりました! (2021年6月19日 2時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キリカ | 作成日時:2019年8月11日 19時

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