俺が好きになったやつ 【影山飛雄】

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影山side




ﾎﾟﾝ…ﾎﾟﾝ…




選手の状況を把握して、今一番最高のトスを上げる為に全力を尽くす



ﾊﾟｼｯ…



手に収まるボール




「…」




今日菅原さんに言われた事が何となく引っかかっている





『人との関係を築いていくには、自分がその人をどう思っているかが重要なんだ』





どう…って、どうなんだ。どう思うのが最高のトスを…じゃねェ、人間関係に最適なんだ?




ﾎﾟﾝ...ﾎﾟﾝ....





朝日奈を…






わかるかボケェ!!





日向はチームメイト、月島も、山口も。田中さんも西谷さんも、他の二年生も、三年生も




考えてみれば 部活の人はチームメイト、クラスの奴はクラスメイトっていう枠がある





じゃあ、あいつは?




「……」




同じ一年、しか言いようがねェ





『朝日奈ちゃんの事どう思ってんのかちゃんと判断してみ?』




「…」





どう思ってるか…。そういう事、ちゃんと分かってねェと駄目なのか?




"どう"が多すぎんだよ!!





朝日奈の事は、嫌いじゃねェ。そもそもそんな事思った事ねーし。多分これからもない





『うん 部活頑張れ』


『あなたを変えるバレーってすごい』


『そう 朝日奈A』


『綺麗だった』


『好き』






「…」




なぜか あいつが言ってた事は簡単に思い出せる、テストの問題よりも 頭に入ってくる





チームメイト以外、あんなに話す奴は今まで居たことがなかった




だから尚更、初めてのせいかどう思ってるか分からないのかもしれない




判断するにしても俺は 経験が無さすぎだ






「どーすりゃいいんだよ…」






…………………



ｷ-ﾝｺ-ﾝ ｶ-ﾝｺ-ﾝ




「…」


「…」



「「……」」




「ねぇ、あれって三組の影山くんだよね?」


「うん どうして朝日奈さんじっと見てるんだろ?」


「見つめ合ってるし、てゆうか睨み合ってる?」






クラスの子が少しざわつく中、私を見下ろし続ける彼はﾋﾟｸﾘとも動かない。座っているせいか 彼の背が高いからか 首が痛い





「座ったら?」


「おぉ…」




ｶﾞﾀｯと椅子を引いて前の席にようやく座ると、変わらずじっと私を見続ける。 綺麗な瞳






「「…」」




難しい顔してる 眉間にしわ寄ってる。ムスッとしたと思ったら何か閃いた顔をして また口を尖らせる




こんな彼は初めて見た




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