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「くかー」




寝ている、完全に





これを思うのは二度目でデジャブに感じる。めくれた布団をかけ直し眠る彼の前にしゃがんだ





台風で帰れそうもなく、彼は家に連絡を入れ 泊まることになり、お父さんもお母さんも同様台風で帰ってこられない





客室で寝てもらうはいいけれど 何時に起きるか聞きに来たらもう夢の中





「…」




大きな手、無防備な寝顔 寝息とともに動く肩。少しだけ頬に触れても気づかず眠り続けている






「……かげ、やま」





呼ぶ声に対して返ってきたのは寝息。たくましい二の腕がぐわんと伸びてきて思わず仰け反る





そういば「指立てしていいか?」と律儀に許可を得て指立てなるものをやっていた。あとでやってみたら三回も出来ず挫折





「おやすみ」





小さく呟いて、寝室を出る。台風停滞しないかななんて思ったのは内緒





…………





チュン チュン__






朝 昨夜の台風は嘘のように朝日が昇る




「くかー」





客室に行くと気持ちよさそうに眠る彼は、どうやらぐっすり眠れたようだ。どこでも寝れるタイプなのだろう





「起きて」


「んがっ…」



「…」





ゆっさゆっさと揺らすと一瞬眉を寄せるもまた寝息が始まる。普段はキリッとしているのに寝顔はなんだか幼ない





「朝練」


「…んあ」パチッ




起きた。薄く開く目、定まっていないような眼差しで私を見るとパチリと目を見開いた




「あぁ…そうだったな」


「うん」


「今何時だ?」


「六時」


「朝練行く」


「朝食と制服下にある」


「わかった」





部屋を出て行く彼を見送り、自分の支度をしていると 玄関の方から足音が聞こえ、家を出るようだ





行くと いつも通りの彼がいて靴を履いている





「世話になった」




振り向いて私にぺこりとお辞儀した。律儀だ





「これ、」


「?」


「お弁当」


「ッ! いいのか?」


「うん」


「あざっス!!」





またぺこりとお辞儀して家を出た




「…」




一人になった空間でようやく騒ぎだす鼓動、ふと鏡を見ると頬を赤く染めた自分が映っていた




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設定タグ:ハイキュー , 影山飛雄   
作品ジャンル:恋愛
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かげぇ - 本当にこんなストーリーが思いつくなんて天才ですね。本当に感動しました。ありがとうございます。 (2022年10月21日 2時) (レス) id: 3036219cf9 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 祈吏さん» 差し支えなければ村上春樹さんのどの作品の女の子に似ているのか教えて頂ければ幸いです。とても気になります! (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます! 月島くんのことも好きになってくれるなんて感無量ですね (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
祈吏(プロフ) - 主人公の女の子が村上春樹の小説に出てくる女の子みたいですごく好きでした (2022年6月4日 15時) (レス) @page50 id: ed79f9af0b (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - すごく素敵でした。影山くんももちろんですが、月島くんももっと好きになりました! (2021年6月19日 2時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キリカ | 作成日時:2019年8月11日 19時

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