1.はじまり ページ1
「ぎゃっ！！！」
何で！？何であるのよっ！
杉！！
こんなでっかい杉の木と花粉！
見ただけで目が痒くなるんですけどっ！！！
「はぁっ…！くっしょーーーんん！！んー！？」
始まった！！！
バカでかいスギ花粉がワンサカついた木が何でだか韓国にあるんですけどっ！？
全く気づかなかったんですけど！
黄色いふわふわゆらゆらは私の天敵！
「何で！？はっ…はくしょん！はっ！くしょっ！
はぁーーーっ…くしょぃっ！！！」
「大丈夫？笑 ほら、これ飴。
メンソールだから鼻に良いと思うよ。」
涙ボロボロの視界が劣悪の中、男性であるとは思うけど、よく分からないそんな声の主に話しかけられた。
「ありがとうございます…はっ！くっしょい！」
我慢しようとしたら、スンゴイ腹から締まった声が出た。
恥ずかしい…！
「アハ！花粉症…？てヤツ？笑」
「あー…あの木すごいですね…はっくしょん！
杉花粉…やばいです！はっくしょぃっ！」
花粉症の私は鼻が弱い為、お洒落な薄手のハンカチではなく、色気もクソもないタオルハンカチを持ち歩いている。
そのタオルハンカチで顔面を覆う。
でも、この韓国で花粉症が出るなんて！？
「ん？アレ？あの木はミモザだよ笑」
「えっ…ミモザ！？」
てっきり、黄色＝花粉と決めつけていた。
飴の効果なのか、それを聞いてからなのか、突然くしゃみが治るゲンキンな身体。
「かわいい花じゃんね？
じゃっ！お大事に。」
涙目から見えるその後ろ姿は細身の男の人だった。
「ミモザ…？こんな風に咲くんだ。」
切花しか知らなかったから、黄色いかわいい花が木にたわわに咲くところを初めて見た。
人の思い込みは怖いモノで、花粉と思えば花粉症の症状が発生する。
日本人の私は誕生日のこの時期は花粉症との戦いで、花粉を逃れてココ韓国へワーホリした理由もあり
コーヒー好きで、カフェの多いソウルでお店をしたいと経営学の勉強を始めていたところ。
「にしてもさっきの人、オヤジみたいな声で汚いクシャミしている私に飴をサッと差し出すなんて素敵！」
時は3月。
冬と春に挟まれたようなこの時期は誕生日のせいなのかとてもとても大好きだ！
明るい黄色の空気と色とりどりの花達。
花粉症は除いてはだけど。
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作者名：torisun | 作成日時：2022年2月14日 13時
