3.思い通りになること ページ3
桃side
「…………」
……………寂しい。
流星の仕事は家で出来るやつらしくて、
基本いつも家におる。
やからこそこうやって1人にされると、
改めて自分がどんなに寂しがりか、
流星がおらんとダメかを実感させられて怖い。
「流星、っ、りゅう、りゅうせ…」
流星、流星。
この静かすぎる部屋で、
何回も何回も流星の名前を繰り返して、
どうにか寂しさを紛らわそうとしても無理で。
早く流星に抱き締めて欲しい。
早く流星とくっつきたい。
早く流星に…って、
もう俺には流星しかないんやな。
まぁ、こんな状況に置かれたにも関わらず、
その状態に思いきり依存してもうた俺には、
ちょうどええ。
みんなも、そう思うやろ?
「りゅ、うせ…帰って来て、流星、流星、、」
ガチャッ
「ただいま」
「、っ、おかえり、!流星、流星、!」
首輪があるから飛び付くことは出来んけど、
買ってきたものを置いて、
こっちに来た流星に思いっきり抱きつく。
「流星、遅い、っ、!」
「ごめんごめん、な?」
「嫌っ、離れんで、もっと、」
ぽんぽん、とたった2回頭を撫でて、
すぐ離れた流星を引き留めると、
ぎゅーっ、と痛いほどに抱き締めてくれて。
「甘えん坊なん?」
「流星が遅いのがあかんの、ッ…!」
「ふふ、ごめんって、」
首輪外してあげるな、
と、鍵やらなんやらを外されて、
自由になった体で流星に思いっきり抱きつく。
お願い、もう離れんで、って、
これ以上寂しくなったら死んでまう、って、
どうせ流星はわかっとんやろ?
早く甘やかしてや。
「片付けの間、ちょっとだけ待っとって?」
「、はやく、」
「ん、早くな?」
そう言って離れて行った流星の温もりに、
1人でおったさっきのことを思い出して、
ぼろぼろ涙が出てくる。
でも、別にこういうことで流星は怒らへん。
それをよくわかっとるから、
無理矢理止める必要もないし、
涙でよく見えん視界の中の流星を見つめる。
「望、泣かんでもええやろ?ほらおいで?」
「ん、っ…さみし、かった、の、っ…」
「今からいっぱい甘やかしたるから、な?」
「ずっと、ずっと甘やかして、」
そう言うと流星はええよ、って。
知っとるもん、別に。
流星はそう答えるやろな、ってことも、
流星が俺に縋られたいことも、
俺がどんどん流星に堕ちていっとることも。
全部全部、流星の思い通りなんやろ?
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らるり(プロフ) - mさん» そんなことを言って貰えるなんて夢にも思っていなかったのでめちゃくちゃ嬉しいです!読んでいただきありがとうございました! (2020年5月21日 14時) (レス) id: 918ca3f2a8 (このIDを非表示/違反報告)
m - 今までで一番面白かったです!ほんとに。まじで。まっ言いたいことは、ありがとうございました書いてくれて (2020年5月21日 13時) (レス) id: efcd99a275 (このIDを非表示/違反報告)
らるり(プロフ) - 音羽さん» ありがとう!ゆっくり書いてるので待っててください! (2020年5月16日 0時) (レス) id: 918ca3f2a8 (このIDを非表示/違反報告)
らるり(プロフ) - 優和さん» コメントありがとうございます!また新しいのを出す予定なので、良かったらお願いします! (2020年5月15日 23時) (レス) id: 918ca3f2a8 (このIDを非表示/違反報告)
音羽 - 完結おめでとう!うぇすとだいありー。もゆっくり書いてってな! (2020年5月15日 23時) (レス) id: ee26aa0291 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らるり | 作成日時:2020年5月6日 23時