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その先 ページ16

どうにもならないな、とアンテナは折って捨て置く。
よいしょ、と憔悴している高谷さんを背負って家まで歩く。

これからどうなるんだろうな、と歩いていたけれど随分と慣れた臭いが鼻についた。背後から死臭。
背負っているものを見れば足からぐずぐずに溶けている高谷さん。

「……はッ?ちょ、」

ドロ、とロウのように溶けて、地面に染みては消えていく。待ってよ、と誰に言うでもなく1人慌てる。

「おいてくつもり?」

掴んでいる手も溶けだした。にゅるりとウナギでも掴んでいるかのよう。皮膚に触れてもそれは温度も質量もない。空気のようだけれどぼたりと地面に落ちてやっぱり染みも残さずに消え去った。高谷さんの着ていた服だけが私の手に残る。まるで幽霊のようとも思ったし、何故私が「置いていかれる」と思ったのかもわからない。高谷さんが何を言いたかったのかもわからない。なにもわからないまま、全てが謎に終わった。

風が吹く。強い風だ。死臭を吹き飛ばして、服も攫って消えていった。



なんとも言えない気持ちのままビスケの家に帰り、早かったのね、という声に適当に返してソファにぼすんと座った。衝撃で縦に数回揺れて、親指の爪を眺めた。頭が上手くまとまらない。今、ことちゃんの方はどこまで行っているんだろう。言った方がいいのか、黙っていた方がいいのか。多分帰るというか、死んだのか時間切れなのかのどちらかとは思う。異世界人の行く末なんてそんなものだろうとぼんやり考え、視界の端にフリル。
見上げればしかめっ面をしたビスケが立っていた。

「何かあったのね」
「そんなことないよ」
「そんな事ある顔してるのよ、アタシの目は誤魔化せないわよ」

金色の頭をかいて、ビスケはやっぱりぶっきらぼうに「アンタの師匠やってんだから、なんでも頼りなさい」と言った。性悪ババアのくせに何を、と顔に出ていたのか脳天に1発食らってしまう。頭の先からつま先までジンと痺れる痛み。背中を丸めて痛がっていれば深いため息と共に「1人で抱え込んでもロクなことにならないわさ」と呟かれる。経験談なのだろうか、それは妙に現実味があった。

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設定タグ:HUNTER×HUNTER , 戯言シリーズ , クロスオーバー   
作品ジャンル:アニメ
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八凪(プロフ) - 夜桜琴 氷零さん» コメントありがとございます!励みになります!クラピカ落ち希望ありがとうございます!私もクラピカ好きなので検討してみます! (2019年2月27日 18時) (レス) id: 46226bed43 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜琴 氷零(プロフ) - とても面白いです。ありがとうございます。クラピカ落ち希望 (2019年2月27日 13時) (レス) id: 9486bc00be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八凪 | 作成日時:2016年11月23日 12時

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