5.想定外の専門外 ページ6
メイド)「どうか…どうかご内密に。私があなた方にこのことをお話しした事実も、奥様方に仰らないでください!」
お願いします!お願いします!と、メイドは懇願する。
夫人がアンダーテイカーに『目立たないように』と依頼したのはそのためか…。
メイド)「このお役目が世間に知られれば、マッケンジー家のお取り潰しは免れません!お嬢様まで行方知れずになった上に、そんなことになったりでもしたら…ご家族は…」
涙声になるメイド。
ア)「安心おし。誰にも言わないさ。こういう情報を守らなきゃ、やっていけない商売なんでねぇ…」
安堵するメイドは、アンダーテイカーに、ありがとうございます、と小さく頭を垂れた。
ア)「それじゃあお仕事を始めようかねぇ。伯しｙ…見習いくんのことしばらく頼んだよぉ?」
セ)「お任せ下さい」
メイド)「あの…では私はこれで」
ア)「ご苦労様。後は小生たちでやるから大丈夫だよ」
メイドはランタンを置いて地下室を去った。
シ)「おぇっ」
セ)「先に外へ出ますか?」
シ)「バカ。怪しまれるだろ」
笑いながら仕事をするアンダーテイカーを遠目に見ながら言い放つ。
セ)「しかし…このようなお家が存在しているなど初耳です。坊ちゃんはご存知でしたか?」
シ)「知っていたら身分を隠したりしない。僕も初耳だ」
“女王の死神”…そんなもの聞いたこともない。
シ)「ファントムハイヴ家に求められるのは、あらゆる手段を用いて女王の憂いを晴らすことだ。しかし彼ら(マッケンジー)は、女王陛下個人の憂いより国の危険を排除することを要求される」
セ)「同じ裏家業とは言え、目的の根本が異なるということですか」
ア)「おや」
ふいに声を上げたのはアンダーテイカー。
シ)「何だ」
僕は少し苛立ちを含んだ声で向き直った。
ア)「伯爵、どうやら今回のお仕事は、小生の専門外みたいだ…」
シ)「専門外…?」
ア)「これをごらんよ」
アンダーテイカーに促され、僕はセバスチャンと遺体を覗き込んだ。吐き気がする…。
少女)「……」
少女の亡骸は綺麗な状態だった。赤茶色の髪、青白い肌、細い手足、指…。
シ)「?」
少女の人差し指には、指輪がはめられていた。幼い手にはちょっと大きい。
Mの文字が入っていた。遺体の腹部に血の痕がある。刺されたのか…?
少女)「ん……」
シ&セ))「「!?」」
ア)「ヒッヒッヒ…」
シ)「これは…!」
呻き声…動いた目蓋。
ア)「小生は葬儀屋…。
生きてるお客さんの相手は専門外だね」
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