3.マッケンジー夫人 ページ4
アンダーテイカーが呼び鈴を鳴らし、裏口をノックする。
セ)「街屋敷にしては立派ですね…」
シ)「ああ、それなりの家だろうな。つまり人脈もある。裏口から呼び込んだにしろ、嫌でもこの件の噂は広がるだろうな」
しばらくして、わずかに扉が開く。
メイド)「はい」
ア)「ご依頼のものを受取りにまいりました」
メイド)「! そ、葬儀屋さんですか?良かった…!」
アンダーテイカーの来訪に、安堵の声を漏らすメイド。
？)「ちょっと!誰が勝手に扉を開けていいと言ったの!!」
メイド)「!? お、奥様!」
部屋の奥からヒステリックな声が聞こえてきた。鋭い視線で僕らを睨みつける。
この家の奥方らしい。興奮した様子で、わなわなと手を震わせているが、顔色はどことなく悪かった。
？)「まぁ…いったいどなた?早くお帰り願いなさい!!家がこんな時にあなたは…!!」
メイド)「お、奥様、落ち着いてください。葬儀屋さんがご到着なさいました!!」
？)「そ、葬儀屋??」
メイドから宥められ、ハタリと呼吸を整える奥方。
落ち着きと同時に、先ほどまでの自分の言動、行動に恥ずかしさが出てきたらしい。
ジョルジュ)「あ、あらやだ私ったら///思ったより早くご到着なさったから…///ジョルジュですわ。急なお仕事でしょうけれど、よろしくお願いいたします」
ア)「いえいえ、お任せください」
ジ)「? あの…後ろのお二方は?」
シ)「!」
怪訝な視線を向ける夫人。
まずい…彼女の動揺ぶりはかなりのものだ。
『シエル・ファントムハイヴ伯爵だ』とか『取り替え子事件…』なんて言えば、またヒステリックに喚かれて、次は追い出されかねない。何て言えば…。
セ)「彼の同業者(葬儀屋)ですよ」
ジ)「そ、その割には随分と良い身成をしておいでね?
私は『目立たないように』ともお願いしたのですけれど…?こんな子供まで…」
シ)「ッ」←
セ)「万が一誰かに見られても、誰も『葬儀屋が死体を取りに来た』とは思わない。因みに、彼は見習いです。貴女の言う“身成の良い葬儀屋”の存在自体、誰も思いがけないでしょう?」
ジ)「! え、ええ、そうですわね。素晴らしい機転だわ」
思いのほか簡単に言いくるめられたな。この夫人…。←
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