22.ランタン ページ23
Under Taker…──＜Aside＞
その夜、私はなかなか寝付けなかった。
むくりと上半身を起こして、部屋を見渡す。
──『こっちに来ないの?』
あの声、あの言葉…。確かに誰かに言われたことがある。でも思い出せない。
貴)「……」
起き上がり、それとなく鏡の前に立って腹部を撫でれば、薄い寝巻きの上からでも凸凹した傷の縫い目を確認できた。
わたしは刺された。あと１日遅かったら死んでたって、アンダーテイカーは言っていた。
わたしは死ぬところだった。
誰かに刺された。
殺されかけた。
わたしを殺したいひとがいた…──。
──『なんて悪い子なの…!!』
貴)「?」
悪い…子…?
女の人が喚くように言い放つ。
──『あなたは良い子ですね＾＾』
良い子…?
こんどは男の人が優しく投げ掛ける。
どっちの声も懐かしい。
──ｶｼｬﾝｯ
貴)「!」
ドアの向こうで音がして、少しだけドアを開く。
真っ暗な廊下に差し込む一筋の月明かりで、床に何かが落ちているんだと分かった。
貴)「(ランタン…?)」
拾い上げると、真っ暗な廊下の少し先の壁に、一本だけ灯った蝋燭が目に入った。これは…──
──((A…))
貴)「!」
──((こっちに来ないの…?))
またあの声…。蝋燭の方からだ。
ドアを閉めて、ランタンを片手に蝋燭に歩み寄る。蝋燭の日をランタンの中にあった蝋燭に灯す。
貴)「誰?」
──((こっちにおいでよ…))
そっちか…。
ランタンで廊下を照らしながら歩く。不思議と、足はすいすい進む。
──((右手のお部屋…))
貴)「?」
右側を照らすと、扉があった。
──ｶﾁｬ…ｶﾁｬ…
中から音がする。この中に声の正体がいるんだろうか。
──『勝手に色んなお部屋に入っちゃいけないよぉ?』
貴)「…」
アンダーテイカーにはそう言われたけど…。ちょっとくらい…──
──ｶﾞﾁｬｯ
ゆっくりと扉を開くと、鼻をつく薬品の臭い。
貴)「!」
そして、台の上に並べられた小さな体…。
死体だ。
子供たちの。
それに手を加えているのは……──
ア)「�・♪」
アンダーテイカー…。
彼は、一体を棺に戻そうと抱き抱えた。死体の顔がよく見えた。
──((やっと会えたね…))
貴)「ﾛﾋﾞｰ…ﾅ…?」
──ｶｼｬﾝｯ
貴)「!」
ｱﾝ)「!」
ランタンが落っこちて火が消え、盛大に音がなった。
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