Prologue 愛されたキオク ページ1
12月のロンドン…寒空の下で雪の音に耳を傾ける少女が一人。
――Ah…ah…ah…
歌が聞こえていた
…ずっと昔…どこかで聞いた歌が
誰かが…私のために歌ってくれていた歌…
――ah…ah…ah…
――眠るもの…安らかに…
貴)「……」
雪が降る
一つ一つが舞い降りて、ただただ私に降り積もる…
――明るい希望秘め…
つめたい欠片が肌の上で消える…
寒くて仕方がないはずなのに、その冷たさが心地よかった
――雪の空…遥か越え
――この奇跡照らしたい
――全て愛で包んで
――夢の中でおやすみ
――暗い夜も月がいるわ
――また朝は巡る
？)「降りましたねぇ」
貴)「! …父さん」
？)「A、風邪をひきますよ」
貴)「…」
？)「何か…面白いものでもありましたか?」
貴)「……歌が…聞こえたの」
？)「歌…?どんな?」
貴)「……何でもない」
？)「? とにかく、教会に入りなさい。そろそろ夕食の時間です。皆が待っていますよ」
貴)「…うん」
バカみたい
歌なんか聞こえるわけないのに…
もう誰も私のために
――A――――…
歌ってくれるわけない
貴)「父さん」
？)「なんですか?」
貴)「ロビーナ…どこ行ったの?」
？)「………なぜ…聞くんです?」
貴)「…最近見ないから…」
？)「さぁ?どうしたのでしょうねぇ?」
貴)「でもね父さん
アンソニーとバートはずっと父さんの所にいるよ?」
――ズキ…ッ
腹部に鋭い痛みが走った
冷たい刃が背中からのびる…視界が歪む…痛くて…赤くて…
？)「怖がることはありません。かわいそうに…大丈夫。すぐに会えますからね?アンソニーにも…バートにも…みんなに…ね」
そのまま倒れて瞳を閉じる…
私…もう死ぬんだろうか?いったい誰のために?
父さん、さっき私のこと可哀想って言ってくれたよね?
何で?
この殺しも私のためなの?
神様…もしいるのならお答えください
、、、
私たちの死はだれのためにあるのでしょうか………――
？)「ヒッヒッヒ…」
しばらくして聞こえたのは、変な笑い声と
？)「これは…!」
男の子の声だった
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