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「どういうこと!!?」

 ヒステリックに叫ぶ声は静まり返っている公園にキンキンと響く。
 雪は訳が分からず困惑した。
 眼球がにゅるりと動き、雪を捉える。


「アンタ、これ、どういうことよ。」


「…え?」


「とぼけるんじゃないわよ、何も入っていないじゃない!!」


 見せつけてくるその中身は___空。
 確かに、奥にはぽっかりとした暗闇が横たわっているだけだ。

どうして。

 呆然と、立ち尽くした。
 母はその_空っぽの_封筒を地面に握り捨て、高いヒールで器用に踏みつける。


「アンタ、このあたしに反抗しようって言うのね。そう__なら、その汚い体にまたしつけてあげる!!」


 鬼の形相で腕を持ち上げる。

昔と少し変わってしまったけれど、大切な母を怒らせてしまった。
最低だ。嫌われる。
俺は、やっぱり無能なんだ。

 今までのどんな拷問よりも苦しそうに、雪はぐっと目を閉じた。


 __しかし、いつまでたっても衝撃は来なかった。


「ちょっと、なによアンタ!!?」


 暗闇の中で母の声が困惑を湛えている。


 目を開けば、街頭に照らされた美しい長髪。
 大きな手が母の腕を掴んでいる。__自分を優しく撫でていた手だ。


「じんぐうじ、さん…?」


 彼の瞳は痛烈に雪の母を射抜いている。雪でも分かる、怒りを滲ませながら。


「止めなさい。彼は、貴女の人形ではない。」


 彼女は自分の腕を掴む者の正体に気づき、驚愕した後、雪を睨む。


「神宮寺寂雷!?アンタまさか、あたしを嵌めたわね…!!許さない、自分のしたこと、わかってんの!?あたしに歯向かうの!!?」


「__あ、あ…ちが、違う…違います…」

 唇を震わせながら、雪は数歩後ずさる。
 自分のしたことの重大さを理解したからだ。

「ふざけんな!!アンタなんて、私が___」


「止めなさい。」


 底冷えするような声が一閃する。そして、さらに追い打ちをかけるように口を開く。


「警察はすでに呼んである。貴女は、今まで彼にしたことを恥じ、自戒すべきだ。」


 その言葉と共に、遠くから車の音。周囲に配慮してかサイレンは聞こえないが、恐らくパトカーであることは容易く想像できる。そして、彼女はその意味を悟り、なおも吠える。


「どうして……どうしてよ!!何が悪いって言うの?!あたしが産んであたしが育てた子よ!?自分のために使って何が悪いのよ!?」


 それが、寂雷の逆鱗に触れた。

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Last(プロフ) - カナリアさん» ありがとうございます。僕自身も今作の主人公はお気に入りです。これからも堪能していただければと思います。 (2018年12月28日 12時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - 主人公くんが可哀想で可愛くて個人的にダイレクトでした…… (2018年12月27日 22時) (レス) id: 90bd7d6cd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Last | 作成日時:2018年11月24日 20時

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