神宮寺寂雷とヒモ男 (ページ2)

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2. ibw ページ2

今日は金曜だからカレーにしよう。
朝起きた時からずっとそればかり考えて、今日は時間があるから、あのひとが帰ってくるまでじっくり煮込む。

オレは明智(あけち)。
明智光秀と同じ『あけち』だ。小学校まではよくからかわれていたけど、オレはかっこいいと思うから結構気に入ってる。

あのひと、神宮寺寂雷さんの家にオレは住んでいる。一か月くらい経つかな。
相手は男だけど、ラッキーだったと思う。いい部屋住んでるし、トイレも風呂も綺麗だし、なにより寂雷さんは優しい。
女の子と違って面倒なところもない。男同士だから気兼ねしないし、楽だ。
前にお世話してくれた女の子んとこ、追い出された時はどうしようかと思ったけど、まさかこんなことになるなんて思いもしなかった。

あ、考えていたら帰ってきたみたいだ。

「ただいま。」

カレーの匂いにつられた視線がオレの育てた鍋に注がれる。緩んだ口角。完全無欠に見える天才医師もこいつの前じゃイチコロってこと。

「おかえりー！」

じっくり煮込んで休ませた最強のカレーだ。
オレは寂雷さんからコートを奪い取って、ハンガーにかける。寂雷さんが着替えている間にご飯によそってテーブルに並べる。手洗いうがい、わすれずに。

「いただきます。」

両手を合わせる寂雷さんは神様みたいだ。
テーブルの下できちんと置かれた足は身長の分、大きい。オレはその冷たい足をむぎゅっとふんづける。びっくりした顔が面白くて、スプーンを唇の先に銜えた。

「足、つめたい。今日、冷えたでしょ？」

すう、と肩の力を抜いた寂雷さんが椅子の背もたれに体を預けて微笑む。
してやったりな顔を浮かべたのが気に入らなかったのか、ほどなくして足を踏み返されてしまったづ