【ヒプマイ】 シークレット・バース 【男主】

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その日俺は帰ってから
めちゃくちゃ部屋をうろうろした



そしてふと、
全部夢か
という結論に至り

しかし
携帯電話に登録された
「神宮寺寂雷」の名前に悶絶する


それをかれこれ3回は繰り返していた




返事をして

「よろしくお願いします…」

なんて言ったら

「うん。よろしくね」

なんて笑うものだから



ええ？
もしかしてドッキリ？



半分懐疑、半分舞い上がらずにはいられなかった

だってあんな笑顔、狡すぎる
勘違いしてしまうじゃないか
先生は、俺のことが好きなんじゃないか？と




気持ち悪いと言われたいつかの日が過る
昔好きだった人
ただ好きだった人

付き合うなんて前提に無くて
でも、その人の幸せを願うだけの恋は
苦しくて死にそうだった



だから
好きな人と付き合うことになったという事実を
現実として受け入れることが怖い

恋人っぽく扱われたって
気持ちが無いと念頭に置くことが辛い


付き合ったって、どんな顔して何をすればよいのだろう


飽きられたら
直ぐに捨てられてしまうんだ





そして問題がもう一つ


独歩からの着信履歴がすごい





店を飛び出したこと、心配しているのだろうか
でも


『おい馬鹿一二三いぃぃぃ！！！』


…あの口調からして、知ってたっぽいし
一二三のことだから独歩に話したんだろうけど



正直
自分が今まで大切に隠してきた秘密が
知らないところで把握されていたことが衝撃

…最悪、店を辞めることも考えなくちゃな





「もしもしどっ＿」

「月貴ッ！！本当にすまん、一二三がデリカシー無くて…後で一二三にも謝らせるからはやまるんじゃない！！」

「ちょっ…ちょっと落ち着け」



1コールで出たかと思えば開口一番謝罪された
必死さが伝わる
だが、だからこそ疑問だった



「独歩、知ってた…んだよな。俺が、その…」



無言が続く
息を吸う音



「うん…ごめん、知ってた」
「じゃあ、なんで」


「誰だって言いたくないことくらいあるだろ…月貴が嫌がることはしたくないし」
「違う、そうじゃない」



だとしても
俺のためを思っていてくれたんだ
良いやつだよほんと



「俺のことキモいとか、思わないのかって」
「…はは、俺に付き合ってくれるのは一二三と先生とお前くらいだから…それに俺も一二三も月貴のこと、そんなことで嫌いになったりしないよ」



いつも俺を励ます優しい声
独歩は独歩だ


愚痴を言いあって
笑って
明日も頑張ろうって


手を差し伸べてくれる
いつもの独歩だ

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