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ポツリと呟かれた言葉
泣きそうな目
こんなに小さかっただろうか、彼は
「…どうして」
謝るんだ
と聞きたかった言葉は、彼には別の意味に聞こえたらしい
「ごめんなさいごめんなさい！！俺…げ、ゲイで…昔から男の人が好きで…だから…神宮寺先生のこと」
なにがそんなに恐ろしいのだろう
顔を上げると、懇願の眼差し
「すみませんキモイですよね。二度とツラ見せないんで勘弁してください…」
一息にまくしたてる
ああ、そんなに私のことが恐ろしいのだろうか
「君は…私のことが好きなんだよね」
「……」
だったらどうしてそんなに怯えるんだ
私は、君に嫌われているのではないかと悶々としていたのに
「写真、見せて」
「へっ」
小動物めいた動きにクスリと笑ってしまう
悪戯をした猫を叱ることはあっても、嫌悪感を抱くことはない
しかし渋る彼に少しだけ意地悪をしたくなってしまう
「この場合、君に拒否権はないと思うのだけれど」
我ながら大人げないと思ったが
これが効いたのか彼は携帯電話に保存された一枚の写真を見せる
満開の桜
ああ、これは確か
「良く撮れているね」
「……すみません」
彼とまだ出会って間もない頃、たまたま院外で会ったことがある
その時のものだろうか
という事は、彼はその時からずっと…
あの態度は、私に好意を悟られないようにするため？
こんなに長い間、彼は片思いをしているのか
男性に告白されるのは初めてだ
しかし嫌悪感はない
興味深い
彼の心理状態
どういったことを考えているのだろうか
「付き合ってみようか」
そこに深い意味が無いことを寂雷自身わかっていなかった
月貴は、ポカンとした後
顔を歪めた
「からかってるんですか」
「違うよ」
「でも…っ！！」
「六月君」
渋る彼にどこか苛立っている自分がいた
諭すように言いたかった言葉はどこか
脅迫のようで
「最初からお互い好意を抱いている恋人は少ないと思うのだけれど」
「それは…わかってますけど…」
彼は案外ロマンチストなようだ
私は彼のことは嫌いではない
私に秘密を知られてしまった彼は
私が拒絶したらどうするのだろうか
他の男性にこの目が向くのだろうか
受け容れてくれる人と幸せに結ばれるのだろうか
私は同性愛者ではない
それでも
自分に好意を向ける相手が
別の方向を向いてしまうというのは
酷く癪に障る気がした
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Last(プロフ) - いおさん» ありがとうございます。詩的な表現に気を遣っていたのですが、そう言っていただけてとてもうれしいです。完結までよろしくお願いします。 (2019年6月1日 21時) (
レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 素晴らしすぎる作品ですね…!続きが気になり過ぎて堪らないです!!文章も綺麗で、何から何まで素敵な作品です…!!これからも頑張ってください…!! (2019年5月28日 23時) (レス) id: 1d7aa46e15 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 彩華さん» ありがとうございます。お話も割と終盤ですが今後も楽しんでいただけるよう頑張ります。 (2019年5月26日 15時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - しんどい…好き…めっちゃ心抉られるくらいキュンときます…俺的にはどストライクすぎます。作者さん好きです（） (2019年5月25日 0時) (レス) id: 3d53cc1cd6 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 腐女神さん» ありがとうございます。完結まであとわずかですが今後とも気長に待っていただけると幸いです。 (2019年5月19日 2時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Last | 作成日時：2019年4月27日 1時
