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何の変哲もない昼休み、しかし
所内唯一の喫煙所から離れた人けのない一角では、一人、手に汗を握っている人影があった
「月貴、その…よければ今日、会えませんか」
我ながら踏み込んだ
沈黙が続く
それも、そうか
あの状態から再会したのに、いきなり言われても困る、か
警戒されただろうか
また距離が空く？
拙い
修正の糸口を探すも、無駄
「今日は、無理」
プツリと糸が切れたように一瞬視界が真っ白になった
しかし、間をおいて、糸を手繰り寄せるような、小さな声
「仕事あるから……明日なら、いいよ」
顔を上げても見たい顔は無い
それでも確かに笑っている
「わかりました、それでは明日の＿」
絶対に仕事を早く切り上げる
存外社畜の銃兎だが、この日は何をしてでも、という闘志に燃えていた
＿
どういう顔して会えばいいんだよ
横浜の繁華街で一人悶々としていた
先程から落ち着かず、スマートフォンのロック画面を点けたり消したり
何年ぶりだ？
11年ぶりだ
この歳になるとそんな昔のことさえ昨日のことのよう
…でも
銃兎、怒ってなかったな…
「月貴ッ！！」
「はい！？」
突然呼ばれ、条件反射的に返事をする
振り向けば、懐かしい顔
肩を上下させ、恐らく走ってきたのだろう
大人っぽくなったような
何か話さなくてはとまごつくと、ばっと銃兎が頭を下げる
「すみません！！仕事が長引いてしまって…」
「いや、全然…いいから頭上げて、早く行こう」
距離感がわからない
何から何までがOKなんだ
銃兎も銃兎で敬語だし
ワイシャツの銃兎を見ていると、昔を思い出す
今は違う
お互い、大人なんだよな
＿
会ったら死ぬんじゃないかと思っていたけど
案外普通で拍子抜けだった
銃兎が予約してくれた店
それなりの開放感がありつつ個室のスタイル
何か宜しくない話をするにはもってこい、か
だが、とって喰われるわけでもなく
銃兎は高校卒業後の話をしてくれた
警察官になったという噂は、絶交後聞いたような覚えはある
きっかけは、言わずとも察していた
改めて、銃兎にとって辛い時期だったのだと知った
相手が告白すると、自分もそうしなければならないような感覚になる
流されて、ぽつりぽつりと話し始める
新宿の大学に進学したこと、中退したこと
ホストクラブで働いていること
一通り話してから、銃兎が氷の残ったグラスを傾ける
カラン、という音と同時に
空気が一変したような気分になった
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Last(プロフ) - いおさん» ありがとうございます。詩的な表現に気を遣っていたのですが、そう言っていただけてとてもうれしいです。完結までよろしくお願いします。 (2019年6月1日 21時) (
レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 素晴らしすぎる作品ですね…!続きが気になり過ぎて堪らないです!!文章も綺麗で、何から何まで素敵な作品です…!!これからも頑張ってください…!! (2019年5月28日 23時) (レス) id: 1d7aa46e15 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 彩華さん» ありがとうございます。お話も割と終盤ですが今後も楽しんでいただけるよう頑張ります。 (2019年5月26日 15時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - しんどい…好き…めっちゃ心抉られるくらいキュンときます…俺的にはどストライクすぎます。作者さん好きです（） (2019年5月25日 0時) (レス) id: 3d53cc1cd6 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 腐女神さん» ありがとうございます。完結まであとわずかですが今後とも気長に待っていただけると幸いです。 (2019年5月19日 2時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Last | 作成日時：2019年4月27日 1時
