6 ページ6
砂塵が舞い、トリオンの結晶が輝く。
大気が揺れていた。灰色の空に、非難されている気分だ。悪くない。大地に踏み込む脚も、握る弧月の感触も、何もかもが堪らなく心を躍らせた。灰になって、空に吸い込まれるまで、こうしていたい。そうしたらきっと、何もかもが完璧で綺麗で滑稽で満足だろうに。
『…んん？』
乾いた大地でもなく、空も見えない。ただの天井じゃないか。
夢じゃないか…。なんだ、もう少し見ていたかったのになあ…。
『頭いた…』
寝すぎの頭痛に顔をしかめる。丸一日寝ていたようだ。
重い体を起こし、コップに水を注ぐ。冷たい水で頭が冴えてきた。
いつだったか…確か、初めて遠征に行ったときだったような。異世界で荒廃した大地を蹴ったあの日、経験したことがないくらい興奮した。夢に見るくらい、幸せを感じた。だからこそ、
今回の遠征メンバーに自分がいないことが解せない。
窓から小さく見えるボーダー本部は霧に沈んで怪しい雰囲気を醸し出している。
『泥の中にいる気分だな。』
独り部屋で自嘲していると、近くで深く低い音がした。
まるで怪獣の足音である。朝飯買いに行こう。と。そんなことを考えながら外に出た。
家賃が安い分、警戒区域がすぐそばにあるアパートの2階が私の根城だ。警戒区域が近いだけあって、こう朝っぱらからネイバーが出現するので非常に騒々しい。非戦闘員にとってみれば命がけの寝起きドッキリだな。
トリオン体でコンクリートを蹴り、立ち入り禁止の針金を飛び越え、弧月でネイバーを切る。うしろの建物まで切っていないことを確認し生身に戻った。そして、
「あれ、菅さんじゃないですか。」
防衛任務中の隊がちょうど現着したようだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 147人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫好き - Lastさん» ↓誤字ってお嬢様みたいになりましたw (2019年3月20日 21時) (
レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - Lastさん» 霊長類最強に勝てるわけがないよ(´・c_・`)、 Lastさんも長期にわたって返信ありがとうございますのこの小説は何度も読み返させて頂いています！（語彙力0） これからも頑張って下さい!! (2019年3月20日 21時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 猫好きさん» 恐らく霊長類最強女子（笑）だと思われます。長期にわたってコメントありがとうございます。 (2019年3月11日 17時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - ブラックトリガーに勝てるとかやばいっすね (2019年3月10日 2時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - Lastさん» そういっていただいてありがとうございます！あっ、私ですか？死者蘇生されました！ (2019年2月13日 0時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：四季 | 作成日時：2018年1月20日 0時
