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「お嬢様いらっしゃいましたぁ〜っ！」
「しゃぁーーっす！」
思い描いていたものとは違ったけれど、やっぱりチャラい。
みんな金だのピンクだの緑だの、鮮やかな色に染めあげた髪の毛をしている。
その中でもやっぱり一際輝いていたのは彼だった。
「ご指名、誰に致しましょうか。」
オーナーのような人がそういうと、ズラッと1列にホスト達が並んだ。
その動きはまるで軍隊のように鍛えこまれているようだった。
私には彼しか見えていなかった。
でもここで彼を選んでしまったら、明日から合わせる顔が無かった。
彼を指名したい思いを必死に抑えつつ、私はこの店でNo.1だと言う「ショウ」を指名することにした。
「ねぇねぇ、お姉さん。今いくつ？」
「…26です。」
「へぇ〜っ、じゃあ俺よりやっぱ上じゃん！ても若いねぇっ」
私の体を舐めまわすように見た後、ニコリと目を合わせる。
これも1種の技なのかもしれないけど、年齢聞いてくるあたりがセクシャルハラスメント感。
「お姉さんさぁ、こーゆーとこ初めてでしょ？」
「まぁ、そうですね。」
「ぎこちない感じするもん。そんなに肩張らなくなっていーのに。」
そう言って、ショウは私の肩をトントンと叩く。
そしたらなんでか少し気持ちが楽になった。
私は水割りのカクテルを飲み干した。
「…あんたって意外と、普通の人間なのね。」
「えーっ、まあいろんな事情あって俺もこーゆーお仕事してるからね。」
ショウは時々悲しそうな表情を浮かべる。
多分、初めてあった私なんかが介入しちゃいけないような何かが。
彼は口を開いた。
「アフターとかさ、お金払われちゃったら行かなきゃならないじゃん？でもさ、本当はそーゆーのんとか俺したくないし。」
まあでも、稼げちゃうからオバチャンのとかでも行っちゃうんだけどねっ、っておちゃめな顔して言うから、少し軽く聞こえてしまう。
でもこれは普通な事ではない。
彼は「女の子といちゃいちゃしたい。」とかそんな不純な動機でこの世界に来たんじゃなくて、事情があって、わざわざこんなヨゴレ仕事してたんだと思うと、胸が痛む。
ホストなんて、ただのチャラいたらしばかりだって思っていた。
でも案外、悪くないかもしれない。
「なんか、ホスト見直したかも。」
「まじ？あざーっす！」
彼の無垢な笑顔が、グラスの氷に反射して眩しい。
続く (更新停止中)
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作者名：ななめ28° | 作成日時：2018年7月11日 21時
