03. ページ3
松本潤、彼との出会いは不思議なものだった
｢Aさんがサクラって、ほんと？｣
｢…は？｣
これが、私たちの初めての出会いだった。
高校に入ってすぐの頃、私は友達を作れずにいた。
でも、少し私は男子の目を引いていた。
そのせいもあってか、友達が全くというほどできなくて、唯一の私の友達はカバンについたぞうのストラップだけだった。
そんな中で彼にかけられた言葉は私には突飛で理解に困った。
｢…私、そんな写真撮ってない。｣
｢じゃあやっぱりサクラじゃん、ほらコレ見てみ？｣
そこには私のありもしない羞恥な画像が3枚にわたって掲載されていた。
もちろん合成なのだけれど、あまりに綺麗に出来てるから勘違いする人もいるだろう。
目の前がぐわんと揺れたような感覚に陥った。
これが広まったら、松本くんがひろめたらどうしよう。
そんな思いが全身を埋めつくして堪らなくなった。
｢……っ、｣
止まらなく溢れてくる涙は手の甲で拭いきれずぽたぽたと腕を伝って落ちてゆく。
｢Aさん、俺が処理しとくから安心しな。｣
そう言って彼ははにかんだ。
どうにか出来るはずなんてない。
1度出回ってしまったものは、どう考えても抹消出来ないものなのだ。
そんなこと頭ではわかっている。
でもそんなまやかしみたいなものに、ほっとしている自分がいる。
まるで魔法にかかったみたいで。
｢ありがとう。｣
そう言うと｢どーいたしまして｣っていう君の顔が、言葉が、声が私の五感を刺激して。
気付けば恋に落ちていた。
これが私の初恋で、一目惚れだった。
ここから私たちが付き合うまで、そう長く時間はかからなかったんだけれども。
今ではもう、ただの美化された"オモイデ"になっちゃって、もうそれ以外の何者でもなくって。
今でもまだ、あの青いピアスを見ると思い出す。
それは、雨粒の形をしていた。
きっとそれは、これからも私を縛り付けてゆくのだろう
それでも私は、今でも彼に頼りっぱなしでいる。
彼の縛りから解放されることなど、もう無いのかもしれない。
外では、ザーザーと雨が脈打ち続けている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななめ28° | 作成日時：2018年7月11日 21時
