とりあえず戦え！ 〜プロローグ 秘密基地〜 ✿公園と＿＿ ページ1
中は外よりも少し薄暗いが暖かい。高さは結構あり、立ち上がっても大丈夫なのではないかと立ち上がると――？
「うわぁ！？」
ゴンッと鈍い音がして頭に衝撃が来る。急いで頭を抑えて出ると三人はそれぞれが不安げな顔をして話し合っていた。
「なんだあれ……」
「びっくりしたねぇ」
「うへぇ……」
なるほどみんな立ち上がれると思って立ったら頭をぶつけたのか。だからそんなに驚いているのだろう。
「まぁ薄暗かったしね」
「ああ、暗い中であれはちょっとな」
「肝が冷えたよ」
「なんかの呪いかッ！？」
……ちょっと大げさすぎじゃない？
「まあでも秘密基地としてならいいんじゃない？ 雨風しのげるし」
私がそう言うと三人は目を大きく広げ私を見る。
「本気かよ」
「すっすごいね……」
「俺が無理やり探検しようって言ったの怒ってるのか……？」
「えなんで」
私の反応に「Aは強いなぁ」と苦笑いをする柳。眉を下げて謝る萩。目を細くして私を見る桐。
「……お前もう一度穴ん中行ってこい」
「？ いいけどさぁ？ どったの」
「いいから」
私は桐の方を振り向きながらドームに入ってく。やはり少し暖かい。
「もっと奥だ」
「奥ー？」
てくてくと四つん這いになりながら進む私。中はかなり広くて私が六人ぐらいは入れるだろう。
「ん？」
手が何かに当たる。ゴツゴツとしているそれはところどころ湿ったふさふさしたものがあって……これは石と苔だろうか。
薄暗い中、上を向いた私が見たものは――
「ひゃぁぁぁぁぁぁ！？」
「暗かったから気づかなかったんだね。大丈夫だよ」
グズグズと泣く私をなだめる柳。その目はまさにお母さんだ。
「しかしなんでこんなもんが中に？」
萩がドームから引きずり出したそれを見て桐は首を傾げる。
手のひらを上に向け、もう片方の手で棒のような、杖のようなものを持つ人。その顔は穏やかで人を安心させる――が
「頭が……」
そう、首から上が無いのだ。薄暗いドームにあったのは頭が欠けたお地蔵さまと
「頭切られたのに穏やかな顔だな」
その頭だ。
「もうやだ……」
私は呟いた。
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作者名：市花 | 作成日時：2018年1月3日 15時
