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「やってるじゃん、いつも。
本当に数回でしょ?
俺だって人間だし、それくらいあるよ。」
『だから、分担で決めたんだからさ、
そこだけはちゃんとやろうよってことじゃん。』
「Aは完璧なの?
そうじゃないじゃん。」
『……あぁ、もう……。』
どうすればこのモヤモヤは消えてくんだろう。
……きっと1人になれば、なんて思ったけど
同棲してる私たちに、1人になれる場所はない。
同棲してるから、じゃん。
すべては同棲してるから……。
そう考えた時にはもう言葉に出ていた。
『…はぁ、同棲なんてしなければ良かった。』
「……あっそ。」
気づいた時には部屋はこれまでないくらいの沈黙で、皿を洗う水の音だけが流れる。
1秒1秒がすごく長く感じて、これだけ言った私は何も動けなかった。
目の前には、さっき閑也がつけたご飯がある。
でもご飯の湯気は無くなっていて、温かさも消えていた。
風呂入ってくる。
そう一言いうと、まだ洗い途中の皿を置いて、閑也は洗面所に行ってしまった。
洗面所のドアが閉まった音がして、
思考回路が急回転をし始め、焦りが出てきた。
どうしよ、言ってしまった。
でも言ったことは、取り消しにも引き返すことも出来ない。
…それに、ずっと思っていたことでもあったし。
プライドが高い私の心は、今すぐ謝るなんて選択肢はなくて、自分の携帯を開き、家が近所の友達に連絡してみる。
『……OK?
ありがとう、助かる……。
じゃあ今から行くね。』
そして、私は目の前のご飯を、そのまま残して家を出た。
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作者名:菜緒 | 作成日時:2020年11月22日 15時