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『わざわざ遠いところまで付いてきてもらってすみません。』
「いや、家が近くだったので。」
優しく笑って言ってくれてるが、きっとこれもお世辞なのだろう。
「それにしても年下なのに、しっかりしてるんですね。」
『へ…?』
会ったこともないのになんで知ってるの??
「あ……、すみません。
川島くんがいつも話してるので、つい…。」
『そう、なんですか。』
話してる……?
プライベートと仕事は全く別ってイメージがあったから、意外だし、何を話していたのか……、恥ずかしい。
『ありがとうございました。』
「いえいえ。」
玄関から見えなくなるまで、阿部さんを、見送って、ドアを閉じた。
「……おそい。」
背中に乗っかってきた重みともに、耳元で囁かれた言葉。
その声は拗ねてるけど、なんだか可愛い。
『ごめんね。』
「……おれ、すねてるよ。」
すねてる…。
きっと阿部さんと話してたからだろう。
意外にも如恵留くんは嫉妬する部分もある。
たまーに、私が調子乗りすぎて怒られる時も、多々……。
「でも、今日はゆるす。」
『え?』
許す、なんてことあるの?
そう思って後ろを振り向くと、如恵留くんはフラフラとした足取りで、リビングのソファまで行ってしまった。
眠いのかな………
って、状況にのまれてる、私!
いつもと違う如恵留くんに興味がありすぎたけど、あくまでも酔ってるんだから。
冷蔵庫からとりあえず水を出し、如恵留くんのマグカップに入れ、リビングに向かう。
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作者名:菜緒 | 作成日時:2020年11月22日 15時