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「なんでそんな拗ねてんの。」
『……だってお風呂入ったのに、ハグしてくれなかったじゃん。』
「今ハグしてるよ?」
普通のテンションで言ってくるから、何だかイライラしてくる。
『ギターばっか見て、私のこと見なかった。
早く寝て欲しいなら言ってよ、私なんてどこでも寝れるんで。』
言ってることがおかしいことくらい分かってたけど、感情が抑えられなかった。
どうせ今だって仕方なくハグして……
「んふ、ギターに嫉妬してんの?」
『なっ、そんなこと……』
「ギターはものだし、Aは人だから嫉妬することじゃないと思うけど。」
なんて真顔で言うけど、笑いが堪えきれてなくて震えてる。
なんなら今ハグしてるから余計伝わってくる。
『……悪かったですね、ギターに嫉妬する彼女で。』
「可愛いじゃん、ギターに嫉妬する彼女とか。」
『復唱しないでよ。』
「だって可愛いから。」
ギュッと腕に力が入って、さっきより体が密着する。
こんな時でもドキドキしてるのは、やっぱり海斗が好きってこと。
……でも可愛い、の一言で丸め込まれてる感じが何か悔しい。
黙ってたら、首元に海斗の顔が近づいた。
「お風呂上がりのA、めっちゃいい匂いすんの。
なんで?」
な、なんで?
何もしてないから答えようがない。
『何もしてない、けど。』
「そうなの?
俺、お風呂上がりの匂いが1番好きな気がする。」
ほわほわしててなんか好き、って言うけど、それ理由になってないし。
…でもそんなこと言われたらお風呂のこと嫌いになれない。
むしろ好きになりそう。
海斗のことだからわざとじゃないと思うけど、どこかずるいなぁって毎回思ってる。
そういうとこが海斗の好きなとこなんだけど。
『じゃあ、明日はお風呂上がったら、すぐハグしてよ?』
「うん、分かった。
……あー、でもギターのこと…」
『やっぱり寝るし。』
「ごめん!冗談だから!笑」
『もう…意地悪しないでよ。』
「うん、もうしない。」
天使の君 Kaito.Mi→←嫌いなお風呂 Kaito.Ma
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作者名:菜緒 | 作成日時:2020年11月22日 15時