雷電の翼竜 (ページ2)

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2話ページ2

一夜との邂逅後1週間、空たちは盗人として追われていた。

ウェン「いやぁ、まさか追いかけられちゃうとは……」
空「ゆっくりしてる暇はない気がするんだけど……」

酒場に逃げ込み、何とか教会からの追っ手を巻いた2人。

ウェンティに連れられ下に降りるとそこにはいつの間に来たのか見覚えのある男が酒をちびちびと飲んでいた。

一「あﾞ？空……と風の。この時間帯にここに居るということは……依頼か？」

と机の上に置いてある酒瓶を端によせ、座るのだよ。と横の椅子を指さす。

一「今宵、君たちに会えたことは嬉しいことだ。で、風の、今、騎士のものにおわれているね？」
ウェン「話が早くて助かるよ〜だから匿って……」
一「そいつを始末すればいいのか？」

とヴェールの奥にある瞳がぎらりと光ったような気がして空の背筋に冷や汗が流れた。
改めると人とは思えないような長く硬そうな鋭い爪、夏でも冬でもマフラーを外さないとも聞く。

もしかして、と思い聞いてみようかと考えていると貫かれるような視線を感じた。
恐る恐る顔を上げると瞬きも身動ぎもせずただ、ジッ……と空の顔を見つめる一夜が居た。

一「空……俺に聞きたいことがあるのかい？」

まるで心を盗み見たかのようなタイミングで話を振る。

空「ねぇ、斬月はさ……人？」
一「人だよ。ね、炎の旦那？」
ディル「？あぁ、彼のことは昔から知っているからね。」

よく遊んでもらったよ。と斬月にオレンジジュースを渡しながら言う。

一「まぁ、俺の事はいいのだよ、またおいおいね。で、先程追ってきた騎士を始末すれば」
ウェン「いや、始末はしないでいいよ。ただ、君に手伝って欲しいんだ。」

と天空のライアーを差し出した。

一「……弱いな。」
ウェン「うん、もう長らく使ってないからね。」

壊れてないだけマシじゃない？とライアーを撫で、ね？と一夜に同意を求める。
その目は何かを確信した目だった。

一「……はぁ、わかった、手伝おう。」

と両手を上げ、息を吐いた。

空「え？この作戦、手伝ってくれるってこと？」
一「ま、そうじゃないとこの歌うたいが喧しいからな。」

仕方なし……と目元を覆うヴェールをキュッと結び直し呆れたように首を左右に振る。

ディル「とにかく、君は外に出ない方がいい。」
一「そうだな、空は情報収集も兼ねて少し外を回ってきて欲しいのだよ。」

俺も少し情報収集をしてくるのだよ。とジュースを飲み干し空の分の勘定も置き、じゃあね。と店を出ていった。