トラ男さんとお泊まりすることになりました。【トラファルガー・ロー】 (ページ34)

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【ローside】

宿屋に食料を貰った。

腹も減っていたし、
この天気の中買いに行くのは不可能だった為とても有難い。

…勢いでワインも2本貰ってしまった。

A屋は断ろうとしていたみたいだが、

俺は好きな女(こいつ)と一晩過ごすかもしれないという時に、
酒がないとやっていられそうにないと判断し、すぐさま宿屋に要求した。

そして今。

何故だか俺は大嫌いなパンを頬張っている。

理由は……

A屋に嫌いなものも喰えないような奴と思われたくないからだ。

他の奴の前では絶対にそんなことはしない。

が、どうやらこいつの前では俺は単純で馬鹿になってしまうらしい。

頑張れ…！と、言わんばかりに見つめてくるA屋を横目に、

俺はゆっくりと咀嚼した。

あァ、駄目だ………

食感はスポンジみてェに気持ち悪くて、ネチャネチャまとわりついてくるかと思えば次第に口の中がパサつき、体に変な汗まで出てきた。

「ぐっ………」

口の中全てが不快で齧ったパンは喉を通ろうとしない。

貴「ローさん、もう少しです…！！」

クソ、もう限界だ

俺はワインを瓶のまま口に運び、中のパンをグッと喉の奥に流し込んだ。

「っはぁ、はぁ………………」

貴「す、凄いです！ローさん、食べれましたよ！」

嫌いなものを無理やり流し込んで息切れしている俺に、
A屋は目をキラキラさせながらそう言った。

俺の事ガキだと思ってやがる。

だが…

目を輝かせながら褒めてくるこいつを見て、俺は少しだけパンに感謝した。