トラ男さんとお泊まりすることになりました。【トラファルガー・ロー】 (ページ32)

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2人とも無言で、室内はローさんが本をめくる音と雨の音だけが響いている。

そんな中、突然

ｺﾝｺﾝ

とドアをノックする音が聞こえた。

「誰でしょう…？」

私が立ち上がると、ローさんは

ロー「いい。俺が行く。」

と言い、本を閉じてドアの前まで行った。

そしてドアの小窓を覗き込むと、そのまま鍵をあけドアを開いた。

ロー「…宿屋か。何の用だ。」

ノックの主はどうやらここの主人らしい。

私もローさんの後ろからひょこっと顔を覗かせた。

宿主「突然邪魔してすまないねえ。あんたら、食料が無いだろう？これ、うちからのサービスで皆に配っているんだ。よかったら貰ってくれ。」

そう言って主人は、ひとつのバスケットをローさんに差し出した。

中を覗いてみると、茹でられた野菜にお肉とお水、そしてローさんが嫌いなパンが全て2人分ずつ入っていた。

「いいんですか頂いても！」

私がそう問いかけると、主人は

宿主「もちろんだとも。あ、酒もあるぞ。よかったらそれもどうだい？」

と陽気にワインを片手にそう聞いてきた。

ん〜、仲間も待たせてしまっているし、男の人と2人きりの状態でお酒は飲まない方が良いよね…？

「あの、折角なのですがロー「貰う。」……え。」

私が断ろうと口を開けると、ローさんが被せるかのように一言言い放った。

宿主「お、兄ちゃんいける口だねェ。だったらオマケでもう一本だ！」

主人はそう言ってワインを2本、ローさんに渡した。

ロー「あァ、悪いな宿屋。」

主人はローさんが受け取ったのを見て、

宿主「それじゃあお二人さん。いい夜を！」

と言って階段を降りていった。