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【貴方side】
「教えて下さりありがとうございます！じゃあローさん、行ってみましょう。」
私は店主に挨拶をし、ローさんと共に宿屋へ向かうことにした。
ｻﾞｧｰｰｰｰｰｰｰｰｰーー
店の扉を開けた瞬間、ものすごい量の雨と風が私たちを襲う。
「お、お宿はすぐそこなのに、この距離でも大変……！！」
少しの距離を歩くのも一苦労だった。
ﾋﾞｭｰｰｰｰｰーーー
「あっ」
さっきよりも勢いを増した風が吹き、私は後ろによろけてしまった。
が、
ロー「……しっかりしろ。」
と、後ろでローさんが受け止めてくれた。
「あ、す、すみません！」
私が慌てて体勢を立て直そうとすると、ローさんは
ロー「雨が冷てェ。早く行くぞ。」
と言いながら私の手を掴み、宿屋に向かった。
宿主「あんたら、随分とびしょ濡れじゃないか。」
なんとか宿屋に着き、扉を開けると宿屋の主人であろう男性が私たちにそう声をかけた。
本屋からは数メートルしか離れていないのに、私たちはすっかりびしょ濡れになっていた。
ロー「おい宿屋。二部屋頼む。」
ローさんは主人にそう言って、身につけていた帽子やコートをとった。
宿主「すまんなあ、おふたりさん。今日はもう一部屋しか空いていないんだ。どうする？」
ロー「……。」
主人は申し訳なさそうにこちらに問う。
「えっどうしましょう…」
少し休憩するくらいなら構わないけれど、もしこの天気が2日3日続くとなれば……
それはちょっとまずいよね！？
「あ、あの私 ロー「一部屋で構わねェ。」……え？」
私の言葉を遮るように、ローさんは言った。
え？聞き間違いかな？
「あの、今、一部屋でいいと……？」
私が恐る恐るローさんに問いかけると、ローさんは何でもない顔で
ロー「あァ、言った。何か問題があるのか。」
と返した。
「い、いえ！何でも。」
あまりの平然さに逆に私が恥ずかしくなって思わずなんでもないと言ってしまった。
勝手に何か意識してる自分は、一体何を考えているのだろう……
この天気も、もしかするとすぐおさまるかもしれないのに。
宿主「じゃあ、一部屋ね。ここの三階に空いてる部屋があるから、好きに使ってくれ。」
そう言って主人はローさんに部屋の鍵を渡した。
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作者名：きぬ | 作成日時：2023年9月20日 22時
