Travis Japanの紅一点

優しさに包まれて ページ15

阿部「A、来たよ」

A「お疲れ様です。一昨日の少クラ、カッコよかったです」

阿部「ありがとう。９人体制になって、不安だったんだよ」

阿部先輩、何でもできちゃうからな。

不安でも、乗り越えられるんだよな。

阿部「また、考え事？」

A「あ、そうです」

まぁ、一番はこの空気に触れたかったから。

そして、私は、二番目の理由で返す。

A「そういえば、復帰にどれくらいかかるんだろうなって」

阿部「時間、かかっちゃいけないの？」

A「なんか、遅れちゃう気がして。
　 練習も、デビューも」

阿部「そっか。でも、Aのペースでいいんじゃない」

A「でも、迷惑かからないですかね」

阿部「大丈夫。皆、Aのこと、好きだから」

好き・・・か。

こんな私が、誰に好かれるだろうか。

阿部「ま、そんな背負わないで」

A「ありがとうございます。気が少し楽になりました」

阿部「うん」


そして、今日の夕方。

ようやく８人がそろった。

ちゃか「無事、手術成功、おめでと〜」

しめ「おめでと。手伝うことあったら言ってね〜」

ノエル「皆、静かに」

トラジャ「はい・・・」

A「叱られた子供かよ〜」

まつく「そ、そんなんじゃねぇ。海斗ちゃんじゃねぇ」

げんた「海人ちゃーん」

まつく「ラジオで、やんなきゃよかった」

ノエル「俺は、あのコーナー好きだよ」

まつく「おい！」

さっきとは、また別の空気が流れる。

楽しいというか、いつもの感じ。

A「中村さん、仕事なっかったね。こないだ」

うみ「たまたまオフだったの！」

こんな空気の中、誰かひとり、

私の足を見つめている。

A「しずや？どうかした？」

しずや「何でもないよ。ゴメン」

そういって部屋を出て行った。

やっぱり、この足じゃダメか。

こんな足じゃ…。

しめ「今、閑也、トゲトゲしてるけど
　 心の整理の時間、やってあげて」

ちゃか「絶対、しずも一緒に踊りたいって思ってるから」

A「本当？」

ノエル「本当だよ」

まつく「また、『松松かよ』って、ツッコんでね」

げんた「Aがいないと、このグループまとまんないし」

まつく「何だと。俺がいるもん」

げんた「海斗ちゃんだ！」

A「やっぱり松松かよ…」

その時の私の声は、

隣のしめちゃんにしか届いていない

涙に濡れた声だった。

やっぱり、背負いすぎもよくないのかもしれない。

阿部先輩のアドバイスが

心を軽くした。

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