年下_ ページ9
side:you
__ピンコンっ
…いっけない。
もうこんな時間。
重たいまぶたを開かせたメッセージの差出人は
先週、初めて会った男の子。
そして、今日一緒に出掛ける約束をした、
大我のお友達、樹くん。
最初、雨の日に番号を聞かれた時は軽い子だなあとしか思わなかったけど
話してみると優しくて思いやりのある人だと分かった。
樹くんも大我と同じ事務所に所属している事、
学校で大我とどんな事をしてるか、
大我に可愛らしい彼女さんがいる事。
初めてだからと、慣れない私の為に共通の話題である
大我の話をたくさんしてくれた。
話上手な樹くんとの時間は楽しかったけど
私は上手く笑えていただろうか。
___prururu!
A「はい!妹尾です」
樹「あ、またその出方だ笑笑」
寝起きの頭でぼんやりしているとメッセージに既読がつかないことに心配した樹くんからの電話が鳴った。
樹「あと30分くらいで駅着きそうだけど、Aちゃん大丈夫?」
A「あっ、うん。大丈夫!私もそのくらいに着く…と、思う」
樹「俺先に駅近くで見たいものもあるし、急がないで気をつけてきてね」
A「…ありがとう」
それじゃ、と簡潔に電話を切る。
なんてスマートなのだろう。
これでは、どちらが年上か分からなくなってしまう。
とにかくぎりぎりの時間に起きてしまった現実は変えられないので急いで身支度をする。
今出れば、なんとか集合時間には間に合う。
そう、焦る気持ちを整理しながら玄関ドアを開けた。
A「…」
ふと目に入る隣の玄関。
ちょうど、髪の長い女の子が入って行くところだった。
ドアを押さえる彼と目が合う。
大我「…っ」
あちらも、私に気付いたようだ。
いつもなら当たり障りのない挨拶をするところだが、今日に限って私は、
髪で顔が隠れるように他所を向き、
彼の家の前を通らないように駅への遠回りな道を歩き始めた。
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作者名:無愛想店員。 | 作成日時:2019年6月5日 4時