虎と猫 (ページ6)

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電話_ ページ6

side:you

A「ただいま」

なんて言っても、誰もいない居間に少し響くだけ。

お父さんもお母さんも帰りが遅いから、いつもこう。

夕方、たまに必要なものの電話が来るくらい。

…今日、みたいにね。

あまりに不運だった。

なんで、今日に限って…

____prrr...

A「あっ、はい。妹尾です」

樹「あはは、俺だよ。Aちゃん。」

突然ポケットが震えたと思ったら、相手は先程連絡先を交換した、

A「樹、くん…ですね」

樹「俺らよりお姉さんなのに敬語なの？笑笑樹、呼び捨てでいいよ」

そう、田中樹くん。

大我の友達らしいけど、名札の色からして同級生…
てことは1歳下、かな。

突然の事でよく覚えてないけど、明るいいい子だな、って印象。

樹「今、忙しい？少しお話ししたい」

A「ううん、少しなら」

ご飯時までは少し時間があるし、せっかく連絡先を交換してくれたんだから、と自室に上がる。

樹「Aちゃん？大丈夫？」

自室からふと見えてしまう大我の部屋。

小さいころはお互いカーテンも開けっぱなしだったけど…

今はなんとなく気まずくて、カーテンを引いた。

A「ごめんごめん。おまたせ」

そのまま携帯を耳に当て、私はベッドに座り込んだ。