キ ス フ レ 【 赤 】

２８キス ページ28

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何事も無かったかのように元の場所へお互い戻ればまた厄介者が私の隣に立った



グループのムードメーカー、ころんさん


私の持つビニールを覗き込んでは 食べていい？ と聞いてくる
……社長の言う通り、素直で可愛らしい


彼の指さしたグミを渡すとビリッと袋を矢印に沿って破いた


「 Aちゃんと話すのはじめてだっけ？ 」


『 初めてに等しいです。……レコーディングとかは男性スタッフが担当でしたもんね 』


私が入ってすぐに行われた新入社員歓迎パーティー以来だ

軽く挨拶を交わした程度、タメでいいよー なんて言われたけど結局会う機会がなくてそのまんま



「 莉犬くんがさぁ、Aちゃんの話しつこいんだよね 」


『 ……え、莉犬……くんが…？ 』


「 この前ベロンベロンに酔っててさ、そん時ポロポロ零してたよ。……あいつ不器用で目離せないーって 」


なんで私が居ないとこでばっかそんなこと言うの…。

これ以上期待させないでって言ってるのに！
好きで好きで仕方なくなっちゃうでしょ……。



「 莉犬くんぶっきらぼうだから…。……ってぇ、僕が言えないんだけどさぁ 」


『 そこがころんさんのいい所です 』


「 莉犬くんよりは器用だと思うけどね 」


彼のことを嫌いになる術がなくて困った

彼の話を聞く度に好きにしかなれない。


……どこまでもずるい男だ


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