まだこない ページ21
義勇さんから一方的に文が届いた日から一週間後のこと。
あの日と同じように窓を叩く音がして確認すると、見覚えのある鴉の姿があった。
来た。
と机に用意していた文を持って窓を開ける。
「義勇カラジャ」と先週と同じように答えた鴉。
「貴方のこと待っていたの。もうこないのかも…とも思ったけれど、用意しておいて良かった」
足にくくりつけられていた文を回収して、用意していた文をくくりつける。
「これは先週頂いた文のお返事よ。義勇さんによろしくね」
「分カッタ」と返事をした鴉は空へと羽ばたいて行った。
あれから更に一週間。
質問と不満を色々書いて送った文は無事に義勇さんの手に渡っただろうか。
受け取った彼はどう思っただろう。
ちょっと、行き過ぎだったかしら?
うーん、うーん。と、悩み始めると悪い方向にばかり考えてしまう。
前回の文は、私が息災かどうかを気遣う言葉と、鴉の報告を受けて私たちが無事なことを確認しているといった内容が書かれていた。
短い………と言うのが正直な感想だった。
まぁ、鴉の足にくくりつける訳だから、そんなに沢山の内容を書くのは難しいのだけれど。
それにしても、どうして私はこんなに返事を期待しているのだろう………
どうせ大したことなんて書かれている筈もないのに。
今日は勇作さんと会う日。
約束の時間に向けて準備をしながら、義勇さんの事をついつい考えてしまう。
変ね。
これから勇作さんに会うのに、義勇さんからの文を心待ちにしているなんて。
会えないけれど、お元気かしら?なんて気にしてしまう。
その時、窓を叩く音がした気がして振り返る。
もしかして。
と期待したけれどそこに鴉の姿はなくて。
ただ風で窓が揺れただけのことだった。
私ったら、来るかどうかも分からない物を待っているなんて、馬鹿みたいね。
勇作さんとの約束を守るべく、準備を終えた私は部屋を出た。
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月見(プロフ) - はぁぶ。@3ちゃいさん» コメントありがとうございます!1日1話ゆっくりですが更新していきますので、完結までよろしくお願いします!! (2020年10月26日 6時) (レス) id: 9eeadbb9f3 (このIDを非表示/違反報告)
はぁぶ。@3ちゃい - 普通に続きが気になる…作者さんのペースで更新頑張ってください!応援してます! (2020年10月25日 22時) (レス) id: 4dd2fcae8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2020年9月24日 19時