どうかしている ページ18
きちんと時候の挨拶から始まっていた文は、要約するとこんな内容だった。
【A殿、いかがお過ごしだろうか。
貴女の婚約者に二度と姿を見せるなと言われたが任務である以上、鬼に狙われていると分かっているのに放っておく訳にもいかない。そこで鴉に御二人を見張ってもらう事にした。何かあれば直ぐ駆けつけるが、他にも任務を抱えている故、常にそちらに行く訳にもいかない。くれぐれも気を付けられたし】
「任務ね…」
ぽつりと呟いた言葉が部屋に寂しく響いた。
義勇さんは勇作さんにあんな酷い言い方をされたのに、それでも私達を助けてくれる。
でも、それは任務だから。
はっきりそう書いてあるのを見て、はぁっとため息が出た。
いやいや、待って?
何故ため息が出るの?
私は何が気に入らないの?
何を期待していたの?
真逆の立場にいると言うのに、私は彼と仲良くしたいの?
お友だちになりたいの?
私は刀を不法に持っている彼を、捕らえる側にいるのよ?
うーん、と悩む。
今まで男の子のお友だちなんて居なかったから分からない。
そもそも女学校には女子しかいないから、分かる筈もないのだけれど。
それにしても義勇さんは私の家の場所をどうやって知ったのかしら?
私と勇作さんの待ち合わせにも現れていたけれど、それもどうやって分かったのかしら?
送られてきた文を隅々まで確認する。
宛名と差出人の名前は書いてあるけれど、住所は何処にも書かれていない。
文を送り付けるだけ送り付けて、返事はさせてくれないのね。
もう、義勇さんったら何なのかしら。
ふつふつと不満が沸き上がる。
けれど、それと同時に何故か口元が緩んでしまう。
義勇さんも義勇さんだけれど、私も私だ。
どうかしているみたい。
変なの。と思いながらまた笑う。
この気持ちが何なのか、今の私はまだ知らない。
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月見(プロフ) - はぁぶ。@3ちゃいさん» コメントありがとうございます!1日1話ゆっくりですが更新していきますので、完結までよろしくお願いします!! (2020年10月26日 6時) (レス) id: 9eeadbb9f3 (このIDを非表示/違反報告)
はぁぶ。@3ちゃい - 普通に続きが気になる…作者さんのペースで更新頑張ってください!応援してます! (2020年10月25日 22時) (レス) id: 4dd2fcae8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2020年9月24日 19時