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立場 ページ16

帰宅した私は自室の洋造りのベッドにどさっと倒れ込んだ。
ごろっと仰向けに寝転んで、今日の事を思うと一気に疲れが身体中を支配していく。

言い表せないような感情が押し寄せて、額に腕を乗せれば鈍い痛みが走った。

「…っ?」

見れば勇作さんに強く握られていた腕が赤く色付いてアザになり始めている。

ため息が漏れた。

義勇さんと別れた後も勇作さんの機嫌は治らなかった。

険悪な雰囲気のまま食事を共にすることになり、結局私は当たり障りの無さそうな話ししか出来なかっただけでなく、その会話も長く続かなかった。


もう義勇さんに会えない。

彼に初めて会った日は親友に命を狙われるなんていう、最悪な日だったけれど。

気楽な気持ちで話したり、顔色を伺う事なく接することが出来たり、何でも話したくなる感覚は久しぶりだった。

満たされる気持ちに、心が踊るように軽かった。

とは言え、彼と会って話したのはたったの二度だけ。

だから、また義勇さんと会う前の日々に戻る。
今までと何も変わらない日常に戻るだけ。

ただそれだけ。

なのに、きゅうううっと胸を締め付けられているようなこの感覚はどこから来るのだろう…

私は義勇さんのことを何も知らない。

鬼殺隊という、鬼を狩る仕事をしていて。
政府非公認の刀を持った組織の一員。

それだけしか知らない。

比べて私は警官の父と婚約者を持つ娘。
義勇さんに言われたように、私自身にはこれっぽっちも力がなければ権力もない。

それでも私が父の娘である以上、彼とは自然と対立する立場にいる。
私は彼を捕らえる側にいるんだ。

だから、私は義勇さんとお友だちになれない。
知り合いのように親しくすることさえ、許されない。

それが私の立場。

遅かれ早かれ彼とは縁を切る道を選ばなければならなかったのだ。

出来ればもっと鬼について聞き出して、雪乃と話をつける策を見つけてからお別れしたかったけれど………

それが早くなっただけ。
ただ、それだけなのよ。

自分に言い聞かせるように、心の中で唱えた私は目を瞑った。

それでも私からこのもやもやとした感情が消えることはなかった。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇   
作品ジャンル:アニメ
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月見(プロフ) - はぁぶ。@3ちゃいさん» コメントありがとうございます!1日1話ゆっくりですが更新していきますので、完結までよろしくお願いします!! (2020年10月26日 6時) (レス) id: 9eeadbb9f3 (このIDを非表示/違反報告)
はぁぶ。@3ちゃい - 普通に続きが気になる…作者さんのペースで更新頑張ってください!応援してます! (2020年10月25日 22時) (レス) id: 4dd2fcae8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月見 | 作成日時:2020年9月24日 19時

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