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息苦しさ ページ15

今日は義勇さんと話せてとっても楽しかった。

と言っても彼との話しの内容は何も可笑しなことはない。

寧ろ、ちょっと腹が立ったり、難しかったり、真剣な話しだったり。
面白いとは程遠い会話だったと思う。

けれど、私にとっては楽しかったの。
自然と笑えたの。
久しぶりに気楽に話せる人ができたの。

義勇さんは決して話し上手ではないけれど、それでも私を見て話してくれた。

そんな人は久しぶりだった。

せっかく会えたけれど、それもこれで終わりなのね。


「…もう良いでしょう?勇作さん、行きましょう」

耐えられなかった。
これ以上彼が義勇さんを笑い者にするのは。

「遅くなってしまいますよ」と彼の袖を引こうとした時、「勇作殿」と義勇さんが彼の名前を呼ぶ。

「鬼は実在する」

「は………?御冗談を」と笑う勇作さんに対して義勇さんは表情一つ変えずに言う。

「貴方も対峙したはずだ。刀で切ったはずの傷が再生しているのを見ただろう?」

「あんた…一体………」

「御二人はあの鬼に狙われている」

途端、勇作さんの顔から笑みが消えた。
変わりに怒りの表情が濃くなっていく。

「あんた、さっきからごちゃごちゃうるさいぞ」

これはまずい。

私は声を荒げた勇作さんの袖を掴む。

「勇作さん、落ち着いて」

けれど、そんな私の腕を彼は振り払った。

「っ…!」

そのまま義勇さんの胸ぐらに掴み掛かる。

「鬼だと?冗談じゃない。そんなものただの幻覚だろう。悪いが、私の婚約者に変なことを吹き込んだあんたをこれ以上、近付けさせる分けにいかない。二度と私たちの前に現れるな」

ばっと乱暴に彼から手を離したかと思うと、振り返った勇作さんが私の腕を乱暴に掴んで大股で歩き出す。

「きゃ!…ゆ、勇作さん!?」

「もう彼に構う必要ない。Aさん、貴女は私の婚約者だ。分かったならもう関わってはいけない!」

腕を引かれるまま、転ばないように小走りで必死に勇作さんに付いて行く。

そんな最中、気になって後ろを振り向くと義勇さんはまだ先ほどの場所に立ったまま私達を見つめていた。

バサッとその肩にからすが舞い降りたのが目に入る。


勇作さんに、義勇さんと関わるなと言われてしまった。

もう義勇さんには会えないんだわ。


目元に何かが滲む。
それを脱ぐって、もう一度義勇さんの姿を見た。

小さくなっていくその姿を見ていると、胸に重い石でも乗せているかのように息が苦しかった。

立場→←変なこと



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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇   
作品ジャンル:アニメ
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月見(プロフ) - はぁぶ。@3ちゃいさん» コメントありがとうございます!1日1話ゆっくりですが更新していきますので、完結までよろしくお願いします!! (2020年10月26日 6時) (レス) id: 9eeadbb9f3 (このIDを非表示/違反報告)
はぁぶ。@3ちゃい - 普通に続きが気になる…作者さんのペースで更新頑張ってください!応援してます! (2020年10月25日 22時) (レス) id: 4dd2fcae8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月見 | 作成日時:2020年9月24日 19時

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