序章 ページ1
「お父様、お呼びですか」
広くて立派な書斎に足を踏み入れた若い娘が、彼女を呼びつけた張本人に声をかける。
傲慢に蓄えられたた立派な髭が、その人の地位を表しているように彼女には見えていた。
「お前の見合いが決まった」
遂に来たか。
覚悟していた娘は「そうですか」と何事もない素振りで答える。
「相手はお前もよく知っている相手だ」
「どなたです?」
「勇作くんだよ」
「え…」
その名前に彼女の思考が停止する。
「どうかしたか」
「いえ。…ですがお父様、立派に務めを果たされているお方ですから、私には勿体ない方かと…」
「もう決まったことだ。さっそく明日、顔合わせがある。Aに似合う服も用意させておいた。今日はもう寝なさい」
淡々と告げられる言葉に「分かりました」と返事をする。
「おやすみなさい。お父様」
部屋を出ると段々と顔が強ばっていく。
閉めたばかりの洋造りの扉に彼女は背を預けた。
不味いことになったわ。
よりによって勇作さんだなんて………
これから自分に降りかかる出来事を理解した彼女の小さなため息が溢れた。
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月見(プロフ) - はぁぶ。@3ちゃいさん» コメントありがとうございます!1日1話ゆっくりですが更新していきますので、完結までよろしくお願いします!! (2020年10月26日 6時) (レス) id: 9eeadbb9f3 (このIDを非表示/違反報告)
はぁぶ。@3ちゃい - 普通に続きが気になる…作者さんのペースで更新頑張ってください!応援してます! (2020年10月25日 22時) (レス) id: 4dd2fcae8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2020年9月24日 19時