色んな殿方と戯れたい ７

続き２ ページ38

もし彼が今回のことを信じちゃって、最悪の場合別れるなんて言われたら…



そんなことになったら、私、私…



「おーい、ロイちゃーん？」



近くで私のことを呼ぶサッチ隊長の声なんか全く聞こえないほど考え詰めていたその時



「ロイ。」


『っ！』ビクッ



何も聞こえなかった私の耳に、背後からの声だけがはっきりと耳に入ってきた



『イ、イゾウ…？』



恐る恐る振り返るとそこには今1番会いたくない人が立っていた



そして何故か彼の背後にはナース達が何人か立っていた



『な、何でここに…』


「お前さんにひとつ聞きたいことがあってね。」



絶対あのことだ…



私は固唾を飲んで彼の言葉を待った



「ロイ、正直に答えてくれ…エースと浮気してるというのは本当か？」



きた…！



『…エース隊長と浮気なんてしてない。神に誓って断言します。』



私は真っ直ぐ彼の目を見て言った



「そんなの嘘よ！」



急に彼の後ろに立っていたナースが叫んだ



「そうよ！こっちはエース隊長とあんたが二人っきりで会ってるの見てるんだからね！」


『そんなの同じ船に乗ってれば普通のことでしょ！』


「でも、火のないところに煙は立たないでしょ？」



1番古株のナースが私に言ってきた



『火の元はそっちでしょ！くだらないデマ流しといてよく言うわよ！』


「なんですって…！？」



若いナースが私に食ってかかろうとしてきたその時



「やめろ。」



イゾウの一声でナースは動きを止めた



「くだらない言い合いをしに来たわけじゃない。俺は本当のことが知りたいんだ。」



彼のいつにも増して真剣な表情に周りの空気が変わった



「ロイ、もう一度聞く。本当に浮気はしてないんだな。」



なんでこんなに聞いてくるの…さっきから私本当のことしか言ってないのに…



嘘をついてるのはそっちなのに…なんで信じてくれないのっ…



私の不安な気持ちが形となって目から溢れてきた



「ふんっ、今さら泣いて悲劇のヒロインでも演じるつもり？バッカじゃないの？」



私の姿を見てクスクスと笑うナース達



自分でも無様だと分かってはいるけど抑えることができない



「そんな涙でイゾウ隊長の気を引こうなんてあざといのよ。」



そうよそうよ！と他のナース達が賛同する中



「黙れ。」


「っ！」



イゾウの低く怒りのこもった声が響いた

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