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さて、ここからが問題だ
薬が効いているとはいえ効果が切れればすぐに起きる
そして自分が寝ていたことに焦り、また仕事をやる
そしてまた徹夜の日々に…無限ループだ
そこで私は考えた。私が彼の代わりにやればいいのではと
私は彼の部屋に入り、机の上に山積みにされてる書類を見た
契約者のまとめやリストなど、私でも出来そうなものだった
これならいける。そう思った私は早速椅子に座り、作業を始めた
1時間…2時間と過ぎていく時間に比例するように、机の上の書類が減っていく
いつもこんな量を1人でやってるのかと、彼の立場になって初めて彼の気持ちが分かった
それからひたすら仕事をこなし、最後の一枚を終えた時、窓の向こうに夕日が沈んでいくのが見えた
『終わったぁ…』
私は伸びをして、コーヒーを飲もうと部屋を出た
すると目の前に彼がコーヒーを持って立っていた
『っ、ジョー?起きてたの?』
「さっき起きた。ほら。」
そう言って彼はコーヒーを私に渡した
『あ、ありがとう。』
「ん。」
彼は私の腕を掴み、ソファに誘導した
『…怒らないの?』
「何をだ?俺を薬で眠らせたことか?それとも勝手に仕事をやったことか?」
『両方かしらね…ごめんなさい…』
謝ると彼は私の肩を抱き自分の方に寄せた
「別にラオが謝ることじゃねーよ。俺の方こそごめんな。お前に寂しい思いさせてたみたいで。」
『え?』
「…結婚記念日、昨日だったな…」
そう、私達は今年で結婚3年目。そして昨日がその日だった
おそらく彼は私の部屋にあるカレンダーを見たのだろう
『別にいいわよ。忙しかったんだから。それに…』
私は彼の肩にもたれた
『貴方と一緒に居られればそれでいいわ。』
「ラオ…ありがとな。」
そう言って彼は私の頭をポンポンと撫でた。まるで子供によく頑張ったとやるように
「…ラオ、明日暇か?」
『明日?特に何もないけど。』
「よし、んじゃあ久しぶりにどっか出かけるか。」
『え?でも、疲れてるでしょ?』
「ラオのおかげでゆっくり休めたから大丈夫。」
『ふふ、無理しないでね。』
「わかってるよ。」
2人は微笑み合いながら、どちらからともなく手を繋いだ
後日
『…ジョー、アースラ様から仕事がきてるわよ。』
「あの人鬼かよ…俺の至福が…」
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作者名:鈴之宮 | 作成日時:2018年1月26日 18時