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ヴィランズ 28 ページ29

『V…殿…いつからそこに…』


V「君が窓の外を睨むように見てた時からかな。」


『そう、ですか…』


V「あと、元の姿が少し出てるぞ。」


『え?あっ!』



彼に言われて窓に反射した自分の姿を見ると目の色が変わり、おまけに尻尾が少し出ていた



『す、すみませんっ…!』



私は急いで隠した



V「まぁ、通りかかったのが私だったからよかったけどね。それより、何を見ていたんだ?」



そう言って、私と同じように窓の外を見た



『いえ…人が楽しそうだなと思いまして。』


V「あぁ。そういえば君は人が好きだったからね。」


『好きというほどではありませんが…よく世話をしていたので愛着があるのかもしれません。』



私はもう一度窓の外を見た



そこには親と手を繋いで歩いている子供がいた



その表情はとても楽しそうだった



V「じゃあ、何が憎いんだい?」



彼は視線を窓の外から私に向けた



『…別に人が憎いわけじゃないんです。ただ…』


V「ただ?」


『…ああいうのを見てると、昔のことを思い出すんです。私からあの人を奪ったあいつのことも…』


V「昔のことか…」



昔V殿に私の過去を少し話したことがあったので、彼はすぐに察してくれた



『すみません…出さないようにはしてるんですが、つい感情が出てしまうと無意識に…』


V「いや、君もヴィランズだからね。そういう気持ちを持つのはしょうがないことだ。」



そう言い、私の頭を撫でてくれた



しかし、私としては申し訳ない気持ちだ



すみません、ともう一度言おうとした時



V「でも安心したまえ。君には私がいる。それにフェローもな。私達は君を1人にしない。だから、もし我慢できなくなったら私を頼りなさい。私はいつでも君の味方だからね。」



そう言って、私を優しく抱きしめてくれた



こんな廊下で誰に見られるか分からないのに、その時の私はそんな事も気にせずに彼を抱きしめ返した



その時に、初めて自分が泣いていることに気がついた



私はV殿に背中をさすられながら、静かに泣いていた



…しかし、V殿が私の背中をさすりながらひとつの柱をずっと見ていたことに、この時の私は気づいていなかった

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鈴之宮(プロフ) - 穂香さん» ありがとうございます!こっちの続きも書こうと思いながら、未だかけていないので、もう少し余裕ができましたら書く予定ですので、気長に頑張っていこうと思います。 (2020年1月6日 13時) (レス) id: d027c58287 (このIDを非表示/違反報告)
穂香 - エイトフットとMr.がかっこよかったです!お話も面白く楽しませて頂きました!これからも頑張ってください! (2020年1月6日 12時) (レス) id: 213678c734 (このIDを非表示/違反報告)
鈴之宮(プロフ) - あめいろさん» ありがとうございます。これからも頑張らせていただきます! (2017年12月2日 22時) (レス) id: 62228e04e4 (このIDを非表示/違反報告)
あめいろ - 面白いです!頑張ってください! (2017年12月2日 21時) (レス) id: 2b96bce064 (このIDを非表示/違反報告)
みるふぃーゆ - 頑張ってください! (2017年11月18日 17時) (レス) id: 9bb189def3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鈴之宮 | 作成日時:2017年10月21日 14時

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