78話 ページ40
Aside
「ところで、ヘリを道路に停めさせたがまずかったかね？何しろヘリポートの無い会社を訪ねるのが初めてでね」
出た、非常識発言
ついつい顔が歪みそうになる。こいつは素で言ってるのか嫌みで言ってるのか、私の癪に障る事をさらりと言う
怒りの沸点がすぐそばまで迫る私とは裏腹に、社長は淡々と告げる
福「とつくにの方が遠路遥々ご足労でしたな。して用件は」
ナオミちゃんが運んできたティーカップをみて、金髪男は珍しそうに言った
「ほう。珍しいデザインだ。陶磁器は詳しいつもりだったが。どこのブランドかな？ロイヤル・フラン？あるいはエル・ゼルガか」
ナオミちゃんはつれない素振りで「隣の下村陶器店です」と言った
ナオミちゃんもこいつが中々に気に入らないと察した私は、ナオミちゃんの側へ駆け寄り、耳打ちした
ルツ「A、俺、此奴嫌い。今すぐ燃やしてやりたい」
折「気持ちは分かるけど、駄目だよ。あれでも一応、組合の団長だからね」
ルツの返答に小声で返した私も、男が気に食わず、睨めつけるように立っていた
フィ「フィッツジェラルドだ。北米本国で『組合』という寄合を束ねている」
アイツは、他にも要らぬ自慢をべらべら語りだした。挙げ句の果てには「この会社を買いたい」と大金を差しだした
然し男は、「勘違いするな」といきなり上からものを言ってきた
フィ「俺はここから見える土地と会社すべてを買うこともできる。この社屋にも社員にも興味はない。あるのは一つ」
福「＿＿真逆」
覚った社長ににたりと微笑み、男は頷いた
フィ「そうだ。『異能開業許可証』をよこせ」
誰が渡すか！
どんどん男への印象と私の機嫌が悪くなっていく
男曰く、異能者の団体が合法的に開業できる許可証が、金で買えなかったそれが欲しいとねだるが……社長は即答した
福「断る」
男は金が足りないと勘違いしたのか、腕時計も付けるからなどと言い出したが、社長は矢張り意見を変えない
福「命が金で買えぬように許可証に替え得る物など存在せぬ。あれは社の魂だ。特務課の期待、許可発行に尽力して頂いた夏目先生の想いが込められている。
頭に札束の詰まった成金が易々と触れて良い代物では無い」
おぉ流石福沢さん！私は心で社長を称賛した
その夏目先生って実は近くにいるんだけどなー
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作者名：クラスペディア | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php?mailchkd=1
作成日時：2019年4月14日 22時
