クリスマスの過ごし方 (ページ6)

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ジンくんとは大学の時知り合った。

端正な顔立ちに、誰にも温かく穏やかに接する人柄。

そんな彼に、まさか「君となら寒くても、ずっと一緒にいられる気がする」

今みたいな、冬の時期。そう、あれはクリスマスだった。

ゼミが押して、ジンくんは宿舎に帰ると話していて
そんなとき、ジンくんの冷たい手が私の手を握って甘い言葉を言われたことを今でも覚えている。

告白だと思った私は、「私もずっとジンくんといたい」と答えてしまった。

そこから、ジンくんはアイドルになり、私にたくさんの"ルール"を設けた。

私は受け入れた。あの頃はただ、ジンくんが大好きで、嫌われたくなくて必死だった。

それが正解だったのか、今となってはわからない。
あの時、少しでも自分の気持ちを伝えていれば、ジンくんは隣を歩いてくれたかな。

12月25日

今日は私たちの記念日なんだね。

忘れていたよ。
お祝いなんてしたこともなかったから、漠然と年の瀬にまた1年経ったんだと思うくらい。

窓から見える景色には雪が降ってきて、ホワイトクリスマス。

ここからはイルミネーションのようなものも、体を寄せ合うカップルも見えないけど、
惨めな思いをしてるのは私くらいであればいいな。

ジンくん、お元気ですか。
寒い中、本当にお疲れ様。体に気をつけてね。

口にして、そんなことを言っても届かない。

本当にもう、心が折れそうだった。
いや、何度も折れた。

それでも、どうにかここにいられたのはジンくんが帰ってくる場所だったから。

近くに教会があるのか、鐘の音が鳴り出す。

教会なんてあったかな、
風向きで聞こえるだけかな…

直後、家のインターフォンが鳴り響いた。
ジンくんっ、

と思ったが、すぐにジンくんならばチャイムなんて鳴らさない。

そう冷静になってしまいとりあえずモニターを確認。

ニット帽に、マスク。怪しい人だ。
性別も分からない。

宅配の予定もなければ、配達の可能性もない。

無視だ、離れようとしたところ、

その人はマスクを外して、私が見ているのを知ってるかのように軽く会釈をした。

SUGAさんだ。

BTSのメンバーはもちろん知っている。しかし、会ったこともなければ、話したこともない。

少々躊躇ったが、一瞥もせずモニター越しに直視され続け圧に負け、通話ボタンを押した。

「…はい」

「ヒョンからあなたに渡して欲しいと頼まれたものがあります」

「どうぞ…」

施錠ボタンを押して

玄関に向かう。

渡したいもの…書類がなにかだろうか、
ちょうど部屋のベルが鳴る。