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「Aさん何にしますか？」
「あー…カフェラテにします」
先月オープンしたコーヒースタンド。
タイミングがいいのか並んでいたのはカップル一組だけで、店内もそこまで混んでおらず、座れそうだ。
ここに行こうといわれた時は週末だし混んでいて座れなさそうと心配したが、それは無用だった。
席について、軽く挨拶をして、少し話して思ったのだけれど
あまり女慣れしてないのか…？
「Aさんの大学はテスト期間ですか？」
「そうですね、ちょうど月曜日からです」
ジョングクさんは…？と聞きそうになったのを堪えて、どうにかIanさんは？と絞り出した。
「僕もです〜」
大学どこなんだろう、というか私はチョン・ジョングクとこのままそれなりの会話をして、どうするのだろうか。
「アプリで話していて思ったんですけど、僕たち同じ大学だと思います」
「えっ？」
「校内にドーベルマンモチーフのロゴの雑貨屋があるのも、図書館が去年改装されたのも、一緒だったんです」
「…まじか」
思わず口に出してしまったが、
チョン・ジョングクと同じ大学？
受験時、彼がどこの大学に進学するのか一定多数が注目していた。
……たしか進学はしないと誰かから聞いた気がする。
まあ噂程度の情報だから、正確ではなかったのだろう。
学部が違えば存在を知ることはないか…高校生の時とは違いイケメンがいる話題も中々広まらない。
「凄く嬉しいことではあるんですけど… 」
口に運ぼうとしたカップを思わず止める。
嬉しい…？
「お互いをあまり知らない段階で、身元がわかりそうなことを話すのは控えた方がいいと思います」
「え、あ、はい。すみません」
…普通に怒られてしまった。
「あ、いえ、その…
世の中いい人ばかりじゃないですし… 」
「心配してくださってるんですね 」
「…はい」
照れたように、少し俯く姿に教室の廊下側に座っていたあのクールなチョン・ジョングクに段々と上書きされていく。
「僕デザイン学部のチョン・ジョングクです」
デザイン学部…
同じ校舎を使うこともなければ、デザイン学部はほとんどオンライン授業のはず…
噂でも聞かないわけだ。
ちょっと大学の話をして、いつの間にか敬語もとれて呼び捨てで呼び合うようになっていた。
話した方がいいだろうか、
同じ高校だと。
でも、思い出話なんてないからな…恋心を抱いていたわけでもない。私の罪悪感が解消されるくらい。
「実は私たち同じ高校でもあるんだよ」
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作者名：nunu | 作成日時：2023年12月24日 23時
