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「ただいまー」
明かりの点いているリビングに聞こえるか聞こえないくらいの声で言いながら玄関で靴を脱いでいると、お風呂場から髪が濡れたままの光が出てきた。
「おかえり。遅かったな」
「あぁ、救命で手伝いしてたから」
「また?だからそんな疲れた顔してるのか」
「疲れた顔って。しょうがないだろー、人手が足りないんだから」
そんな会話をしながらリビングに入ると、いつもテレビ見てる大ちゃんがいないことにすぐ気づいた。
「大ちゃんは?」
「大ちゃんなら、自分の部屋だよ」
「え、何で?」
「明日までにまとめないといけない資料があるんだってさ」
そっか。大ちゃん忙しいのか…
いつもなら、ただいまくらい言うけど、今日はやめといた方がいっか。
「夜食でも作ろっかな〜」なんて言いながら冷蔵庫を開ける光を尻目にソファに近づく。
目の前まで行ったら、そのままダイブ。
あぁー、疲れた。
寝転がった瞬間どっと疲れが増す。
それと同時に睡魔に襲われる。
ダメだ。もう動けない…
そう思ったのを最後に、意識を手放した。
どのくらい経っただろうか。
お腹の痛みで目が覚めた。
時計を見ると、寝てから30分も経っていないことに気づく。
とりあえずトイレに行こうと立ち上がると、身体がよろけてテーブルに手をついた。
“ドン”という音がなると、キッチンの方から光が出てきた。
「どうした?大丈夫か、宏太」
テーブルから手を離して立ち上がっていると、光が駆け寄ってきた。
「いや…ちょっと、トイレ」
心配してくれる光には悪いけど、今は早くトイレに行きたい。
どんどん強くなってくる痛みに耐えながら、時々ふらつく足でトイレへ急ぐ。
そんな俺を見かねたのか、光は何も言わずに肩を貸してくれた。
トイレまで着くと、
「ありがと。もう大丈夫だから」
と早口に言って、中に入る。
ドアを閉めようとしたら、「待って」とドアを掴まれた。
「鍵はかけないでね」
「…わかった」
正直、鍵はかけようとしていたけど、頷かないと光がドアを離してくれないと分かったので、渋々了承した。
ドアを閉めて、急いで便座に腰を下ろす。
暫く痛みに耐えて座っていたが、いくら力んでも何も変化がない。
少しずつ休憩を挟みながら、何度か挑戦するも、体力だけが奪われていく。
ハァ…ハァ…
息が上がってきた。
もう一度頑張ろうとすると、急にサーっと頭から血の気が引いていくのが分かった。
やばい、倒れる…
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TT(プロフ) - ♪尾曲がりニャンコ♪さん» ご意見ありがとうございます。応援、励みになります♪ (2017年3月4日 10時) (レス) id: a5409a49a2 (このIDを非表示/違反報告)
♪尾曲がりニャンコ♪(プロフ) - 作者さんが分かりやすく書いてくれてるので、今のままで大丈夫だと思います!更新ファイトです! (2017年3月3日 11時) (レス) id: 79d67a7ed9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:TT | 作成日時:2017年2月25日 0時