3ー2…はつねつ ページ10
「ただいまー」
ドアを開けながら言うと、テーブルにお箸を並べていた大ちゃんが「おかえり!」と振り返った。
「光は?」
光の姿が無かったので居場所を聞くと、ため息を付く大ちゃん。
「部屋で休んでるみたい」
「何かあった?」
珍しくため息を付いたことを疑問に思って理由を聞くと、それがさぁ…と俺のいない間の出来事を話し始めた。
大ちゃんが帰宅すると光が着替えもせずにソファでぐったりと寝ていたこと。
光を起こして体調を聞くも“大丈夫”の一点張りだったこと。
着替えるからと部屋に行ったっきり、声を掛けても返事だけで部屋から出て来ないこと。
「そっかぁ。大変だったな笑」
「笑いごとじゃないってー」
ちょっと怒ったような大ちゃんに「ごめん、ごめん」と謝り、とりあえず見に行こうと2人で光の部屋へ向かう。
ノックをするも返事がない。「入るぞー」とドアを開け、真っ暗だった部屋の電気をつける。
急に明るくなって眩しかったのか、眉間にしわを寄せると、目を覚ました。
「ごめんね、起こしちゃって」
「ん?…おかえり…」
頬がほんのり赤くなっている光にただいまと言い、ポケットに入れてきた体温計を脇に挟ませる。
光は1度拒否すると説得が本当に大変。だから抵抗される前に先手を打つ。
「ちょっ…何してんの!」
声を荒らげて体温計を抜こうとする手を咄嗟に大ちゃんが掴んで体の横で抑える。
「ごめん、熱ありそうだから測らせて?」
「大丈夫だから!…いいって……」
「すぐだからね」
それでもなお、抵抗する光を宥める。
「んっ…やら…ないでっ…っ…いいっ…」
だんだん涙目になってきた光に、大ちゃんも優しく励ます。
「泣かない、泣かない。すぐ終わるよ。ね?」
何とか宥めながら、検温を終わらせる。
泣いている光を慰めている大ちゃんに、「準備してくる」と耳打ちして部屋を出る。
さぁ、ここからが大変だ…そう小さく心の中で呟く。フゥと息をついて自分の部屋から診察に必要なものを持ち出した。
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TT(プロフ) - ♪尾曲がりニャンコ♪さん» ご意見ありがとうございます。応援、励みになります♪ (2017年3月4日 10時) (レス) id: a5409a49a2 (このIDを非表示/違反報告)
♪尾曲がりニャンコ♪(プロフ) - 作者さんが分かりやすく書いてくれてるので、今のままで大丈夫だと思います!更新ファイトです! (2017年3月3日 11時) (レス) id: 79d67a7ed9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:TT | 作成日時:2017年2月25日 0時