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あれから、ゆっくりと着替える大ちゃんを手伝ってやっと家を出た。
今は車で30分程の距離がある病院まで向かっているところだ。
今日はいつもの病院じゃなくて、俺の友達がやってるクリニックで健診する。
そこなら、入院患者さんもいないから、休みの今日は誰もいない。
病院嫌いな大ちゃんは、他の医者や看護師がいると必要以上に怖がってしまう。
そのことを友達の裕翔に話すと「じゃあ、うちのクリニック使ってよ」と勧めてくれて使わせてもらうことになった。
「もうすぐ着くからね」
クリニックが見えてきたので、助手席の大ちゃんに声を掛けると、「ん…」と不安そうな声が聞こえてきた。
そんな大ちゃんを何とか安心させようと会話を続けた。
「ね…ここ…」
車を駐車スペースに停めていると、大ちゃんが小さく声を漏らす。
「あぁ、ごめん。言ってなかったな。ここね、俺の友達のクリニック」
そういうと、不安そうに俺の顔を見る大ちゃん。
「ほら、大ちゃんも会ったことあるよ?裕翔。覚えてない?」
「うーん…」
しばらく考える大ちゃんを見ていると、クリニックの入り口から出てくる光と裕翔の姿が見えた。
俺は車から出て2人に手を振る。
「やっと来た笑」
笑いながらこちらへ歩いてくる光に苦笑いで返すと、そのまま大ちゃんの座る助手席側の方へと近づいて行った。
「裕翔〜、おはよ。ありがとな、休みの日なのに」
光より少し遅れて歩いて来る裕翔にお礼を言う。
「おはよ。いいよ、そんなの。役に立てて嬉しいし」
そう言ってくれる裕翔は本当に優しいやつだ。
「それより、大ちゃん中に連れて行くの手伝おうよ」
裕翔に言われて、助手席の方を見ると車から出てこない大ちゃんに苦戦している様子の光。
「確かに…笑」
「とりあえず行ってあげよ」
裕翔と2人で助手席側に行くと、やだやだ言ってる大ちゃん。
傍に座る光に場所を代わってもらい、俯く大ちゃんの顔を覗き込む。
「大ちゃん、この人だよ、裕翔」
「久しぶりだねー、大ちゃん」
爽やかな笑顔で手を振る裕翔を見た大ちゃんは、「あっ…」と思い出した様子。
「お、思い出してくれた?」
「今日ね、俺は一緒にいないからね。宏太と光くんに診てもらってね」
すっかり口数の少なくなった大ちゃんに合わせて優しく言ってくれた裕翔。
その言葉に大ちゃんも少し安心したみたいだ。
このまま行けそう。
「だって、大ちゃん。とりあえずここじゃ寒いから、中入ろっか」
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TT(プロフ) - ♪尾曲がりニャンコ♪さん» ご意見ありがとうございます。応援、励みになります♪ (2017年3月4日 10時) (レス) id: a5409a49a2 (このIDを非表示/違反報告)
♪尾曲がりニャンコ♪(プロフ) - 作者さんが分かりやすく書いてくれてるので、今のままで大丈夫だと思います!更新ファイトです! (2017年3月3日 11時) (レス) id: 79d67a7ed9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:TT | 作成日時:2017年2月25日 0時